台風、洪水、干ばつ、猛暑などの異常気象が激化し、多くの人びとの暮らしが破壊され、命が奪われています。2008年から2018年までの間に、世界中で平均して年間2,088万人が気候関連の事象によって国内避難民となっています(国内避難モニタリングセンターのデータによる)。
この事態は石炭や石油などの化石燃料を燃やし続け、二酸化炭素(CO2)を大量に放出してきた結果です。裕福な国々が化石燃料を消費して発展してきた一方で、気候変動の影響を最も受けているのは、貧しい国の人たちや社会的弱者です。裕福な国々はその責任を果たし、すべての人びとの人権を守るために、率先して動かなければなりません。世界第5位のCO2排出国である日本も、今すぐ行動すべきです。
これまでの日本の行動や約束は不十分であり、地球上のすべての市民の基本的な権利を脅かしています。裕福な国々は、気候変動による危険で最悪の影響を回避するために、2030年をめどにできるだけ早い時期にCO2排出ゼロを達成しなければなりません。にもかかわらず、日本の目標は、2050年までにCO2の排出を、「実質」ゼロにするというものです。排出したCO2を地下に埋めたり、再利用したりすることで、排出量と回収量を同じにしようというもので、遅すぎる上にあくまで化石燃料を燃やし続けることを前提にしているのです。
しかも、化石燃料の中で最もCO2排出量の多い石炭火力発電を2030年までに完全に廃止することが世界的に求められる中、最新のエネルギー計画でも、2030年までエネルギーの19%を石炭でまかなうとしており、脱石炭に頑なに背を向けています。
また、日本をはじめ裕福な国々は、排出ゼロを達成するだけでなく、気候危機の影響に直面している貧しい国々や人びとへの支援を強化しなければなりません。被害を軽減するための適応策の強化や影響を受けた人びと・地域社会に対する財政支援などです。
気候危機は、現代における最大の人権課題のひとつであり、今、対策を講じないと手遅れになります。地球のために、そして私たちの人権のために、日本政府が責任を持って気候変動対策を強化し、石炭利用を廃止するよう、私たちと一緒に呼びかけてください。
地球温暖化は、生命への権利、健康への権利、食糧への権利、衛生的な飲料水や避難所への権利などの基本的人権を既に脅かしており、究極的には人類の未来をも脅威にさらしているのです。例えば、2019年にモザンビーク、マラウイ、ジンバブエ地域で発生したサイクロンでは400万人近くが被災し、避難民となったり、学校や病院に通えなくなったり、トイレすらない環境で暮らしています。命を落とした人もいます。マダガスカルでは過去40年間で最悪の干ばつが3年も続いており、100万人以上が深刻な食料不足に苦しんでいます。
気候変動の最も悲劇的な災害を防ぐためには、今後10年以内に革新的な変化を起こさなければなりません。また、気候変動の人権への負の影響に対して責任を果たすには、石炭依存からの脱却だけではなく、その過程で人権が尊重されなければなりません。最も疎外されたグループや個人が気候変動の最悪の影響を受けないようにすることが重要なのです。
日本は、2021年4月に開催された気候サミットにおいて、2030年のCO2国内排出量を2013年比で46%削減すると発表、50%削減に向けた追加対策を行う可能性があるとしました。そしてこの新しい目標を2021年10月に国連に提出しました。従来の削減目標である26%から一歩前進したものではありますが、気温上昇をパリ協定で合意された1.5度目標に抑えるには十分ではなく、気候変動の最悪の影響を防ぐために必要な基準には遠く及びません。低い目標は、他の国により大きな削減目標と削減努力を課すことを意味します。もし、すべての国が日本にならって十分ではない目標を掲げたとしたら、気温上昇は3度になってしまうでしょう。
直近の気候変動に関する国際会議では、岸田首相が先端技術で火力発電を「CO2を排出しない」ものにして使い続けることを表明。未確立の技術に頼って火力発電を維持しようとする方針は、世界中の市民社会から強く非難を浴びました。この技術利用による人権への影響も不透明です。日本政府の危機感の低さを変えるには、みなさんの声が必要です。
期 間: | 2021年11月12日〜未定 |
要請先: | 日本政府 |
※署名(名前のみ)はアムネスティ日本で取りまとめ、要請先に提出します。
※後日、メール、お電話にてアムネスティ日本から活動紹介のご連絡を差し上げる場合がございます。