イスラエルがパレスチナを占領してから50余年。イスラエル政府は、国際法違反という非難をよそに、自国民をこの占領地に移住させる政策を推し進めています。「入植地」の建設はパレスチナ住民の家を壊し、農地や水源を奪って進められてきました。さらには奪った土地を観光資源にもしています。観光産業で恩恵を受けるのは入植したイスラエル人――そして、旅行業界です。
旅行口コミサイトのトリップアドバイザーは、入植地にある70カ所以上もの観光名所を自社の旅行サイトに掲載しています。パレスチナ人に対する人権侵害の上に成り立つ入植地を宣伝することで、利益を上げているのです。また、入植地を観光名所として紹介することは、違法な入植にお墨付きを与えるようなものです。人権侵害に加担しているというそしりは免れません。
トリップアドバイザーの最高経営責任者に対して、入植地の観光情報の掲載・宣伝を自社サイトから削除するよう、要請して下さい。
国際法に違反する入植政策
1967年、イスラエルはヨルダンの統治下にあったヨルダン川西岸地区と東エルサレムを占領しました。それ以来イスラエルは、占領下のヨルダン川西岸地区に自国民を移住させています。イスラエル人のための住宅地域「入植地」は、現在、約250カ所あり、なかには3万7千人ものイスラエル住民が暮らす大規模な場所もあります。
この入植政策は、国際法に違反しています。自国民を占領地に移住させることは、戦争の手段や方法を規制する国際人道法で禁止されているのです。入植はしばしば、そこで暮らしていたパレスチナ人の暮らしを奪うかたちで進められています。入植者によるパレスチナ人への嫌がらせも報告されています。
近年イスラエル政府が力を入れている観光開発も、パレスチナ人の土地を奪っています。ユダヤ人と地域との歴史的つながりをアピールするために、あえて遺跡近くにイスラエル人を入植させたりしています。そして、トリップアドバイザーはこうした遺跡や名所を売り物にしているのです。入植者が運営しているレストランやホテル、ツアー情報も宣伝しています。
人権を尊重することは企業の責任
アムネスティ・インターナショナルの調査によって、トリップアドバイザー、エアビーアンドビー、Booking.com、エクスペディアの4社が、自社の旅行サイト上で、入植地にあるホテルや観光名所、レストランなどを紹介していることがわかりました。
イスラエルへの観光客の多くは、トリップアドバイザーの旅行サイトを訪れています。27カ所の入植地にある70以上もの観光名所が掲載されており、情報が「充実」しているためです。
2018年11月、4社のうち、エアビーアンドビーは入植地にある観光名所の大部分の掲載をとりやめると誓約しましたが、トリップアドバイザーは、掲載を続けています。パレスチナの人びとに対する人権侵害の温床である入植地での観光事業を宣伝することは、この人権侵害に加担しているも同然です。
ビジネスと人権に関する国際基準では、企業も国際人道法を尊重する責任があると明記されています。さらには、事業を行う地域に関わらず、すべての企業は人権を尊重する責任があります。
トリップアドバイザーは、入植政策による人権侵害に加担するのを、直ちにやめる責任があるのです。
期間 | このアクションは終了しました。(2019年2月18日~6月10日) |
要請先 | トリップアドバイザー最高経営責任者(ステファン・コーファー氏) |