中国で民主化を求める学生や市民の運動が弾圧された「天安門事件」から30年。
民主化や人権擁護を求める言動が厳しく取り締まられる中国では、事件を記念することも弾圧の対象となります。
4月4日、四川省の陳兵さん(Chen Bing)が「騒動挑発罪」で有罪となり、3年6カ月の実刑判決を言い渡されました。問題とされたのは、3年前に天安門事件27周年を記念する「白酒」(中国の蒸留酒)をインターネットで販売した際の、ラベル画像。仲間3人も同じ罪で有罪となり、執行猶予つきの判決を下されています。
ラベルには「銘記八酒六四」と書かれていました。中国語では酒は九と同じ発音をするので、このラベルは「89(年)6(月)4(日)」、つまり天安門事件が起こった日を忘れないで、というメッセージが込められています。
陳さんたちは、ラベルを通じて事件の犠牲者を追悼しようとしただけです。それが犯罪とされたのです
中国の習近平国家主席に対して、陳兵さんを即時無条件で釈放することを要請してください。
陳さんたち4人は当初、「国家政権転覆扇動」容疑で検挙されました。ラベルの文言は「政治的」なものかもしれませんが、政権の転覆を呼びかけるようなことは、一切していません。その後、当局もさすがに「国家政権転覆扇動」は行き過ぎだと考えたのか、判決では少し軽い「騒動挑発罪」が適用されました。4人は判決が出るまで、3年も拘束され続けました。
アムネスティでは拘束直後から、彼らの釈放を求める活動をしてきました。陳さんたちの行為は言論・表現の自由の行使であって、処罰されるべきものではありません。
執行猶予がついた3人は「罪を認めた」ためだと言われています。3人は釈放されましたが、沈黙を強いられています。
*天安門事件とは
1989年4月、政治改革を進めようとして失脚した中国共産党元総書記、胡耀邦の死を悼むために、北京で大学生を中心とした市民が集まりました。この動きは官僚による汚職の廃絶を要求し、政治的経済的改革を求める抗議行動に発展し、全国各地に急速に広まります。彼らの要求は幅広い支持を集め、平和的なデモは北京だけでなく中国全土で行われました。当局がデモ隊に家に帰るよう説得することに失敗したため、北京では緊張が高まり、1989年5月20日に戒厳令が布告されました。
1989年6月3日の夜、武装した大勢の軍隊と何百もの装甲車両が市内に移動し、デモ隊を「片付け」ました。子どもや高齢者を含む多くの人が軍によって射殺され、1989年6月4日までに、軍隊は北京を完全に掌握しました。これがいわゆる「天安門事件」です。死者の数は数百人に上ると考えられていますが、誰一人として罪に問われていません。
期間 | 2019年5月24日~6月末日(予定) |
要請先 | 中華人民共和国 習近平国家主席 |