ダウ株主はインドのガス漏洩被害者への補償の後押しを

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2024年5月 1日
[国際事務局発表ニュース]
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トピック:企業の社会的責任

ダウ・ケミカル(以下「ダウ社」)の合併会社が過去に引き起こしたボパール事故に関して、アムネスティは、ダウ社の株主に対して同社がこの事故による被害者50万人に対する人権の責任を果たさない限り、同社への投資を考え直すよう求めている。

1984年、インド中央部マディヤ・プラデーシュ州ボパールの化学工場で毒性ガスが漏洩し、50万人以上が曝露する事故が起きた。この最悪の事故を起こした化学会社の親会社ユニオン・カーバイド社を2001年に買収したダウ社は、国際上のビジネスと人権の基準に沿った対応を取ってこなかった。アムネスティは、ダウ社の責任を追及するよう株主に求めている。

4月11日に開かれたダウ社の年次総会に先立ち、アムネスティは報告書「ボパール:40年の不正義」と書簡を主要株主に送付した。

書簡の中では株主に対し、今も続くダウ社の人権侵害に対する懸念を同社に直接表明するように求めた。そして、もし同社が被害者の苦痛の軽減のために、迅速で実効性ある対応を取らないのであれば、同社への投資をやめるようよう求めた。

ボパールの悲劇は終わっていない。漏洩事故に端を発する人権侵害と環境汚染は、今もなお続いている。

ボパール事故で今なお50万人以上が生涯にわたる疾患や障害を背負い、また生まれてきた子どもの多くは、慢性疾患や流産、先天性障害を抱えている。施設は依然として汚染されたままで、残留する化学物質による水汚染が進み、地元住民は長期にわたる健康被害に苦しんでいる。

アムネスティは、米国の投資・資産運用グループのバンガード・グループ、ブラックロック、ステート・ストリートをはじめとする、ダウ社に投資する企業や個人に書簡を送り、ダウ社が、国連の指導原則に基づいてボパール事故の責任を明らかにし、速やかに調査結果を開示・報告するよう、同社に圧力をかけることを求めた。

ダウ社への要望事項は次のとおり

  • ボパール事故の死者や被害者数を把握し、生存者とその子らに追加の補償を提供する。
  • 工場跡地や地下水の今も続く汚染による健康・経済・社会的被害に対して補償する。
  • 工場跡地と周辺地域の除染作業のための適切で公正な額の資金、汚染被害者の診断と回復に必要な資金を提供する。
  • 漏出した化学物質についての情報(毒性、健康への影響、治療法など)を提供する。

ユニオン・カーバイドの親会社として、ダウ社には漏洩事故による人権侵害に対して直接的な責任がある。これらの被害を軽減する対応を取らなければ、ダウ社は国際的なビジネスと人権基準に対する責任を果たすことはできない。

背景情報

1984年12月2日、ユニオン・カーバイドの子会社の化学工場から、猛毒のイソシアン酸メチルが広範囲に渡って漏れ、数千人が死亡し、推定2万2千人以上が毒性ガスの影響で短命で亡くなったとされる。

その影響は40年近く経った今も続く。有毒ガスの健康被害は次世代に引き継がれ、水質汚染の問題もあり、先天性疾患や慢性疾患などで50万人以上が苦しんでいる

アムネスティ国際ニュース
2024年4月10日

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