- 2018年9月13日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:カタール
- トピック:
カタールは、移住労働者の出国に雇用主の許可を必要とする規制の一部廃止を定めた新たな法律を導入した。この規制は、移住労働者を苦しめているカファラ制度(雇用主による保証人制度)に盛り込まれているもので、今回の新法導入は、同制度の全面的な廃止に向けた重要な一歩である。
アムネスティなどの団体が、移住労働者をめぐる人権侵害を指摘したことを受け、同国は昨年、国際労働機関(ILO)と労働者の権利保護・促進について合意、国内法を国際労働基準に沿ったものとし、保証人制度を抜本的に見直すことを約束していた。
同国首長が9月4日に発令した法律は、移住労働者の出国を判断する権限を雇用主からはく奪した。ただし、仕事内容により従業員数の5%までは、この権限を認めている。さらに、労働法が適用されない家事労働などの職種は対象外とし、対象外の労働者に関する規定とその手続きは、今後の閣議決定を通してその概要を示すとしている。
家事労働者を含む、すべての移住労働者が、自由に出国できるようにするには、さらなる取り組みが不可欠だ。
問題は、出国だけではない。悪名高いカファラは、移住労働者に対するさまざまな虐待と搾取の温床になってきた。転職には、雇用主が転職を認める書類を必要とするという規則もその一つで、多くの転職希望者は、雇用主からその書類をもらえず、契約が終了するまで待たざるを得ない。もし、勝手に離職すると、逃亡したとして、強制送還される可能性がある。長年の慣行で今も労働者のパスポートを取り上げる雇用主もいる。
また家事労働者の場合、しばしば長時間酷使され、休暇ももらえず、旅行の自由も制限され、身体的、性的虐待さえ受けることもある。
2022年のワールドカップに向けたインフラ建設ラッシュの中、カタールでは現在、インドやネパール、フィリピン、パキスタン、バングラデシュなどからの労働者が、大勢働いている。その数は、全人口の9割にあたる190万人を超える。
これらの移住労働者に対してやるべきことは山ほどある。雇用主による出国許可の全面廃止は、大きな一歩になるはずだ。
カタールは、ワールドカップ開催を契機に、移住労働者の諸権利を認める国へと脱皮し、他国の模範となるべきだ。
アムネスティ国際ニュース
2018年9月5日
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