- 2017年7月19日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:英国
- トピック:武器貿易条約
英国ロンドンの高等法院は、英国政府がサウジアラビアへの武器供給を認めているのは合法だとする判決を下した。
NGO武器取引反対キャンペーン(Campaign Against Arms Trade)は、英国政府が供給する武器が、イエメンの内戦で重大な国際人道法違反となる行為に使用される危険性が明らかに高いとして、武器移転の停止を求めて訴訟を起こしていた。
重大な人権侵害を起こす危険性が高い武器輸出を認める判決が出たことに深く失望する。イエメン市民にとって致命的な後退になりかねない。
アムネスティの現地調査含め詳細な報告や信頼性の高い報道などは、流入した武器が、イエメン市民に対する戦争犯罪や暴力に使用されていることを示している。また、これ以上の武器供給を認めることは、英国にとっても国際法の義務違反になりかねないと指摘している。
イエメン内戦が始まって以来、死傷した市民の数は1万3000人を超える。
内戦に関わる当事者すべてが、深刻な人権侵害に関わってきた。アムネスティなどのNGOや国連機関はいずれも、サウジアラビア主導の連合軍の攻撃は、市民の命を明らかに無視しているとして、重大な懸念を呈している。市民の安全への配慮を怠ったため、多くの市民が犠牲になり、多数の住宅が破壊された。
連合軍は、国際的に正式な政府と見なされているイエメン政府を支援しており、敵対するのが、フーシ派の武装グループとサーレハ前大統領派と同盟を組むグループだ。連合軍は、病院、モスク、市場などの民間施設を空爆し、また、しばしば過度で無差別な攻撃を行い、市民が死傷している。
裁判で開示された資料によると、2016年2月に、輸出管理機構の責任者が当時の英国のビジネス大臣に、サウジアラビアへの輸出を停止すべきだと勧告した。
英国の国内法、EU法、英国も締約国である武器貿易条約、そして慣習国際法も、輸出した武器が重大な国際人道法・人権法違反に使用されることがないよう、英国が措置を講じることを義務付けている。
アムネスティは、ヒューマン・ライツ・ウォッチやライツ・ウォッチ(英国)などのNGOと共に、英国での司法審査の際、高等院に意見を提出していた。
アムネスティ国際ニュース
2017年7月10日
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