- 2017年7月13日
- [日本支部声明]
- 国・地域:日本
- トピック:死刑廃止
アムネスティ・インターナショナル日本は、本日、大阪拘置所の西川正勝さんと広島拘置所の住田紘一さんに死刑が執行されたことに対して強く抗議する。
今回の執行により、安倍政権下での処刑は2006年の第一次安倍内閣と合わせて、29人となる。金田勝年法務大臣にとっては昨年の就任後1人の死刑執行に続く2回目の死刑執行となった。
西川正勝さんは、これまで何度か再審請求を行っており、今回再審請求中の執行であったという。国家が国民の命を奪う死刑制度では、慎重な審理を尽くす必要がある。公正な裁判のためには、再審の機会を保障しなければならない。
市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)の第14条では、公正な裁判を受ける権利として、防御の準備のために十分な時間及び便益を与えられることを定めている(3条b)。裁判所による公正な審理が尽くされることなどを含め、日本政府は自由権規約を批准した国として、こうした裁判手続きの保障を遵守しなければならない。
また、住田紘一さんは、裁判員裁判ののち控訴を取り下げたため、死刑が確定している。現行の仕組みでは、捜査段階や訴訟段階で問題があったとしても本人が取り下げれば、その点について見過ごされてしまうおそれがある。本人の意思に関わりなく必ず最高裁の判断を求める必要的上訴の手続きなど、国民の生命の権利をより積極的に守る方法について、政府は検討すべきである。
今回の死刑執行においては、こうした公正な裁判を受ける権利を確保するという観点が欠けており、人権を軽視する現政権の姿勢の表れであるとの誹りは免れない。
死刑は生きる権利の侵害であり、残虐で非人道的な、人の尊厳を損なう刑罰である。アムネスティは日本政府に対し、死刑廃止への第一歩として公式に死刑の執行停止措置を導入し、全社会的な議論を速やかに開始することを要請する。
2017年7月13日
アムネスティ・インターナショナル日本
※死刑執行抗議声明における「敬称」について アムネスティ日本は、現在、ニュースリリースや公式声明などで使用する敬称を、原則として「さん」に統一しています。また、人権擁護団体として、人間はす べて平等であるという原則に基づいて活動しており、死刑確定者とその他の人々を差別しない、差別してはならない、という立場に立っています。そのため、死刑確定者や執行された人の敬称も原則として「さん」を使用しています。
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