- 2016年3月25日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:日本
- トピック:死刑廃止
法務省は3月25日、死刑確定者2人に死刑を執行した。死刑廃止に向かう世界の潮流に逆行する行為である。
鎌田安利さん(75才)は大阪拘置所、吉田純子さん(56才)は福岡拘置所で、処刑された。死刑執行は、今年に入って初めてで、女性に対する執行は、2012年以来である。
安倍晋三首相は、この恥ずべき死刑執行で、指導力の欠如を示した。日本がこの最も残虐で非人道的な刑罰を廃止することは、長らく待たれてきた。安部政権下での執行人数は、計16人となった。
吉田純子さんは、1998年と翌年に2人を殺害して、2010年に死刑が確定した。鎌田安利さんは、1985年から1994年にかけて5人を殺害し、2005年に死刑が確定した。
死刑を存置する日本は、死刑廃止国が増える中で、少数派となっている。世界の半分以上にあたる102カ国が死刑を完全に廃止し、事実上廃止している国を入れると、140カ国に達する。
死刑を廃止する国がまずます増える中で、この残虐な刑罰の執行に意欲的な日本は、世界に背を向けている。
政府は、死刑執行は一般市民に支持されているし、重大な犯罪を抑止する役割があると主張している。死刑の犯罪抑止効果の主張には、根拠はない。
日本も死刑廃止に向けた第一歩として、その一時停止措置を直ちに取るべきである。
背景情報
日本では死刑の執行は、秘密裏に行われる。本人が執行を知らされるのは通常、数時間前だが、通告されないこともある。家族や弁護士、一般の人たちは通常、執行後にその事実を知らされる。
秘密裏の執行は、死刑の国際基準に反する。秘密裏の執行、あるいは死刑確定者に対する法的保護措置が不十分であることは、国連の専門家から頻繁に指摘されてきた。
例えば、死刑判決を受けた被告が十分な弁護を得られないこと、あるいは義務的上訴制度がないことなどだ。死刑確定者の中には、精神障がいや知的障がいある人もいるし、その人たちが執行されてきたことも周知のことである。
アムネスティは、犯罪内容や状況、有罪・無罪、個人の特質、執行手段などにかかわりなく、すべての死刑に例外なく反対する。死刑は生きる権利の侵害であり、最も残虐で非人道的かつ人間の尊厳を傷つける刑罰である。
アムネスティ国際ニュース
2016年3月25日
※死刑執行抗議声明における「敬称」について アムネスティ日本は、現在、ニュースリリースや公式声明などで使用する敬称を、原則として「さん」に統一しています。また、人権擁護団体として、人間はす べて平等であるという原則に基づいて活動しており、死刑確定者とその他の人々を差別しない、差別してはならない、という立場に立っています。そのため、死刑確定者や執行された人の敬称も原則として「さん」を使用しています。
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