- 2015年8月17日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ナイジェリア
- トピック:企業の社会的責任
ロイヤル・ダッチ・シェル社は、ナイジェリアのナイジャーデルタの石油汚染対策に対応して、除染方法を抜本的に見直すべきだ。
ムハンマド・ブハリ大統領は8月5日、ナイジャーデルタのオゴニランド地方に対する汚染基金の設立を発表した。これは歓迎したい。しかしシェル社の非効率な除去方法を大幅に見直さない限り、除染の効果には限界がある。
シェル社は、世界に自社の採掘技術を信頼してほしいと思っているが、国連専門家から原油漏れの忠告を受けたにも関わらず、長年にわたって対応していない。これは、重大な問題だ。シェル社が除染への取り組み方を抜本的に変えない限り、国の取り組みは失敗に終わり、現地の人びとは被害を受け続けるだろう。
石油汚染除去のための信託基金設立は、4年前にオゴニランド地方を調査した国連環境計画(UNEP)の重要な提言の一つであった。また、UNEPは、シェル社に対し、除去方法や原油漏れへの対応の遅さなど、除染作業全体を直ちに見直すよう勧告していた。
しかし、アムネスティ・インターナショナルの調査員が8月に行った調査では、シェル社が最近除去したと報告した地域の土壌や水源近くで原油漏れが確認された。
信託基金は、オゴニ族の代表、国連、同国内で操業する石油会社、そして政府によって管理されることになる。政府によれば、「関係者」は初期拠出金として1千万ドルを支払うこととなっているが、「関係者」が誰なのかは定かでない。
UNEPによれば、除染作業には今後30年間かかり、当初の5年間で1千万ドルを遥かに上回る10億ドルが必要とされている。UNEPは、これらの費用は石油会社と政府の双方が負担するべきだと提案している。
2011年、UNEPはシェル社の除染方法について数多くの深刻な問題を指摘した。しかし、アムネスティが今回訪れた地域数カ所には、いまだ原油漏れによる汚染が放置されたままであった。これにより、2011年の指摘から何も改善されていないことが分かった。
背景
政府系メディアによると8月6日、ブハリ大統領は、UNEPが提言した基金の設立や除染作業の加速などの実施を承認した。
国連の報告書が出てから丸4年目を迎えた8月4日、ナイジェリアの人たちやアムネスティなどの国際団体は、汚染除去を進めるために必要な条件である除染基金の設立を求める共同文書を大統領宛てに送った。
1993年、シェル社はオゴニランド地方からの撤退を余儀なくされたが、そこにあるパイプラインからの原油漏れ事故の責任はシェル社にある。
オゴニランド地方は、汚染されたナイジャーデルタの一地域にすぎない。シェル社とイタリアの多国籍石油会社ENIは昨年だけで550件以上の原油流出事故があったことを認めた。それとは対照的に、ヨーロッパ全体の1971年から2011年の間に起きた流出事故は、たった10件であった。
アムネスティ国際ニュース
2015年8月6日
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