- 2014年9月 5日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ロシア連邦
- トピック:
いわゆる「外国エージェント法」は、2012年11月に施行された。(C)AP Photo/Sergei Chirikov
ロシア政府は、ウクライナ情勢について発言した市民社会団体に、事実上「スパイ」を意味する「外国エージェント」の烙印を押した。これは、ウクライナにおけるロシアの軍事行動に関する情報はすべてもみ消すという、政府の意志表示である。
8月28日、法務大臣は「外国エージェント」法に基づき、NGO「ロシア兵士の母の会」サンクトペテルブルグ支部を、「外国エージェント」名簿に正式に登録した。
この直前、「母の会」のエッラ・ポリャコワ支部長は、ロシア兵がウクライナ政府軍と戦い死亡したもようであることを公表した。その中で、ウクライナで戦死したとされる100人近いロシア兵と約300人の負傷兵の名簿を作成し、彼らの所在について調査するよう求めた。ロシア政府は、ウクライナへの軍の派遣など直接的な軍事的関与を否定しており、ウクライナで起きているのは国内紛争だとしている。
ロシアの軍事介入を裏付ける数々の証拠が、連日報道されている。にもかかわらず、ロシアが政府批判者を黙らせ、ウクライナ領内での軍事行動に関する情報を隠蔽しようとする姿勢が、今回露骨に表れた。政府のメッセージは明らかだ。「声を上げる者には、手痛い報復が待っている」と。
「母の会」は、この決定を不服として法廷で争うつもりだ。
ポリャコワ支部長は、「外国エージェント法」の対象要件である「海外からの資金援助」を一切受けていないと主張している。もう一つの要件である「政治的活動」への携わりについて政府は、同団体が「市民集会を開催」し「世論を形成」して政治的活動を行なったとしている。
「母の会」同様、政府に批判的とされる独立系NGO「情報の自由促進協会」も同日、「外国エージェント」に登録された。
「外国エージェント法」は、2012年6月に採択され同年11月に施行された。さらに今年に入って改正され、法務大臣は団体側の同意なしにNGOを「外国エージェント」に登録することができる新たな権限が与えられた。これにより、これまでのように法廷でNGOと長期間争う必要がなくなった。
ロシアでは同法の施行以来、何百というNGOが事前通告なしに査察を受けた。「外国エージェント」の烙印を押されることを拒んだために、いくつかの団体は多額の罰金を科せられた。閉鎖に追い込まれた団体もある。法の改正以来3カ月足らずで、12の独立系NGOが意思に反して「外国エージェント」名簿に追加された。
アムネスティ国際ニュース
2014年8月29日
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