イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:民間人の死者増加 国連は武器禁輸と調査を

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2014年7月15日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
トピック:地域紛争

イスラエルの空爆では、民家が被害にあっている。(C) EPA/MOHAMMED SABER
イスラエルの空爆では、民家が被害にあっている。(C) EPA/MOHAMMED SABER

ガザ地区でのイスラエルの空爆、そしてパレスチナ武装グループによるイスラエルに向けたロケット弾の無差別発射が続く中、すべての紛争当事者が犯した違反行為に対して国連主導の国際調査が行なわれるよう、アムネスティは要請する。

イスラエルが7月8日の早朝に「境界防衛」作戦を発動してから、ガザ地区では100名余りのパレスチナ人が殺された。そのほとんどは戦闘行為に直接参加していなかった民間人である。11日午前の時点で少なくとも24名の子どもたちと16名の女性たちがその中に含まれている。また、600名余りが負傷しており、その多くが重傷である。ガザにある340余りの家屋が全壊もしくは居住不能となり、少なくとも5つの保健施設と救急車3台が損傷した。

イスラエルでは少なくとも20名がロケット弾攻撃によって負傷し、家屋なども損害を受けた。

暴力が激化する中、国連がガザとイスラエルに独立した国際事実調査団を派遣し、紛争の全当事者による国際人道法違反を調査することが緊要となっている。調査団の派遣は、戦争犯罪その他の重大な違反行為をした者を確実に裁くための、大事な最初の一歩である。

国際社会は、過去の過ちを繰り返してはならない。これまで戦争法(国際人道法)違反を傍観し、双方の側の民間人が甚大な被害を受けるのを許してきた。多くの人びとが生死の境目にあり、国連の迅速な行動が必要となっている。

またアムネスティは、紛争当事者による深刻な国際人道法違反と人権侵害をこれ以上進行させないために、国連がイスラエルとハマス、パレスチナ武装グループに対する包括的な武器禁輸措置を直ちに科すことも求める。禁輸措置を待たずとも、すべての国は、過去の紛争での違反行為をきちんと調査せず、責任者を裁かずにいた者たちへの、軍備、軍事援助、弾薬などの移送をすべて即時停止しなければならない。

イスラエル軍の声明によると「ハマスの工作員」の実家であるという理由で、ガザの民間人の家屋群を空爆の標的とし、立ち退きの警告後に破壊したという。

しかしそうしたケースにおいて、攻撃の際にいわゆる「ハマスの工作員」が家屋内にいたこと、住居が弾薬庫として使われていたこと、あるいは軍事目的で使用されたということを示す証拠は出ていない。

住居が軍事行動に実際どのように使われていたかという具体的な情報をイスラエル当局が提供できないのであれば、民家を意図的に攻撃することは戦争犯罪であり、家族たちに対する集団的懲罰にも相当する。

それ以外にも、自宅や隣家への空爆で殺害された民間人もいる。軍事作戦の最初の3日間で、民家とその近隣へのイスラエルの空爆により、少なくとも32名の民間人が殺された。その中にはカラワ家、アル=ハッジ家、ハマド家、アル=ナワスラ家、マラカ家の人びとがいる。うち少なくとも2軒は警告なしに攻撃されたと伝えられている。

「屋根にノック」という方法で攻撃された民家もある。これはイスラエル軍が警告としてその家にまず小さなミサイルを発射し、次のミサイルで家屋を破壊するというやり方である。中には、前もって家族がイスラエル軍から電話を受ける場合もある。

民家にミサイルを被弾させることが有効な「警告」になることはありえない。ガザ地区における過去のイスラエルの軍事作戦で、こうしたミサイルで民間人が死傷した例を、アムネスティは記録している。

また9日の夜、ハンユニス近くの浜辺のカフェでイスラエルの空爆があった際には、2名の子どもを含む9名の民間人が殺された。カフェにはワールドカップの試合をテレビ観戦しようと、大勢の人が集まっていた。

一方、ガザ地区のパレスチナ武装グループはロケット弾でイスラエルを無差別に攻撃している。これまでに、エルサレムやテルアビヴ、ベールシェヴァ、アシュケロン、ハデラなどイスラエルの主要都市に向け600発以上が発射されており、数百万の人びとを危険にさらしてきた。

ハマスの報道担当は、すべてのイスラエル人が正当な標的であると表明している。意図的に民間人を標的とすることも、正確に軍事目標を狙えないロケット弾を無差別に発射することも、戦争犯罪である。

ジャーナリストや医者、人道援助従事者などの民間人や民間施設を双方が保護しないことに言い訳はありえない。

アムネスティはまた、イスラエルとエジプトに対し、十分な量の医療物資、人道支援物資がガザに搬入されるよう保証すること、緊急医療が必要な人びとが滞りなくガザから出られるようにすることを要請する。

ガザの病院は医薬品が激減する中で、増え続ける一方の民間人負傷者の治療に奮闘している。また、この7年間のイスラエルによるガザ地区の厳重封鎖のせいで、燃料と電気不足にも悩まされている。

アムネスティ国際ニュース
2014年7月11日