- 2014年2月19日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:米国
- トピック:死刑廃止
「私が知事在任中は、死刑の執行を停止することにした。この行動で、ワシントン州が全米で高まる死刑論議に参加することを期待する」
ワシントン州知事は去る2月11日、死刑囚への死刑執行を停止する決断をこのように発表した。
いかなる状況においても死刑に反対するアムネスティ・インターナショナルは、知事の今回の決定を歓迎する。
あらゆる死刑執行は、決して法的な必然性があるわけではなく、結局は政治的な選択の産物である。その選択の基準は常に、死刑は残虐で非人間的な刑罰であることに異を唱える点に置くべきである。
1994年、当時の米国最高裁判所の判事は「20年にわたり、矛盾がなく、公正で、誤りがない死刑制度を生み出そうと取り組んできたが、死の装置をいじくりまわすことはもう止めることにした」と宣言した。「どのように法律や規則を組み合わせてみても、もともと制度が抱えている欠陥を排除することはできない」。
2008年、当時最年長だった最高裁判事が「30年以上判事を務めて、死刑執行が、無意味で、無用な殺生に当たると断言するに至った」と語っていた。そして「米国で死刑が相変わらず頻繁に執行されるのは、見識に基づく審議というよりは、政府側の『慣習と怠慢』の結果だ」と断じた。
その2年後、イリノイ州の知事は「死刑を廃止している15州や世界の多くの国に仲間入りして、我が州は歴史上重要な一歩を踏み出す」と、宣言した。
2012年には、コネチカット州知事が、死刑廃止法案に署名して立法化することを約束、そして「他の16州やほとんどの先進国の仲間入りをして、より賢明な方向へ政策を進すめていきたい」と述べた。
2013年1月にはメリーランド州知事も、死刑をめぐる国際的な状況を指摘して、「我々はどちらの道を選ぶのか」と問いかけ、「取るべき道は常に、人々の尊厳をどれだけ尊重しているか、だ」と述べた。
2013年5月、コロラド州知事も同様の決定を下した。死刑制度に潜む恣意性の問題を指摘し、また国内外に見られる死刑廃止の流れに触れて、次のように語った。「世界の中で、米国は処罰の一形態として死刑を今なお用いている数少ない先進国の一つだ」。
そして、今回のワシントン州知事の決定となった。
インスリー知事は、次のように語っている。「かつては死刑を支持していた。しかし、制度維持にかかる膨大な費用、疑わしい殺人抑止力、恣意的で一貫性がない適用など、重大な問題点を認めざるを得なくなった。この欠陥だらけの制度の中では、死刑を公平に適用することはできない。一旦死刑が下されてしまうと、失うものがあまりにも多すぎる」。
その通りである。「自分の任期中は処刑を認めない」という決断は、全世界で死刑執行停止を求めて国連総会が繰り返し行ってきた決議に完全に沿うものである。
今こそ、他の州・国々もこれにならうべきである。
アムネスティ国際ニュース
2014年2月12日
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