- 2014年1月 7日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:中国
- トピック:
中国の馬三家労働教養所 (C) Du Bin
昨年11月15日、中国は過去数十年間、起訴や裁判もせずに何十万もの人びとを拘禁するために利用してきた「労働による再教育(労働教養)」の施設を廃止すると発表した。
労働教養所では、「再教育」の過程で、政治的、宗教的、個人的思想や活動で拘禁されている人びとを改心させ、活動をやめさせるために、しばしば拷問が行われていた。
その労働教養所を廃止するとのことだったが、アムネスティの調べで、中国当局は手を替え品を替え、これらの人びとへの処罰を行っていることが分かった。
多くの元労働教養所は改装を施され、なかには単に施設名が変わっただけのところもある。薬物更生施設(いわゆる「薬物労働教養所」)として再開したものもある。しかし、被拘禁者は薬物更生を受けることはほとんどなく、実態はこれまでと同じ労働教養所である。被拘禁者は何年も過酷な労働と虐待を受けることになる。
元労働教養所を「洗脳センター」(公式には「法律教育教室」と呼ばれる)とすることも多くなってきた。主に、拷問と虐待で法輪功学習者を改心させるためである。
当局はほかにも、いわゆる「黒監獄」という、非公式の拘禁施設を頻繁に利用するようになっている。多くの場合、請願者を監禁する目的で、ホテルや廃墟となったビルなどが使われている。
この種の拘禁施設に法的根拠はなく、当局はこうした施設の存在そのものを否定しているため、施設内の人権侵害は労働教養所以上に懸念される。
「黒地獄」と「洗脳センター」では、拷問がまん延する土壌がある。
労働教養所では、以前拘禁されていた人の話によると、被拘禁者は電気ショック棒などで激しく殴られ、食事が与えられず、水中で呼吸ができない状態にさせられ、いかがわしい注射を打たれ、吊り下げられることもあったという。
宗教的思想を変えることを拒み、これまで3回労働教養所に入れられたある女性は、1日に20回以上、吊り下げの拷問を受けた。拷問では、裸にさせられることが多く、食事も水も与えられず、睡眠やトイレも禁止された。
被拘禁者の中には、精神的拷問を受けることもあった。「自白」しなければ、離婚させる、親せきを処刑する、家族との面会ができない、などと脅されることがあった。また、被拘禁者は他の被拘禁者の「再教育」を命じられることもあった。
労働教養所に長期拘禁されていた人たちの多くは、「黒地獄」や「洗脳センター」、薬物更生施設に直接送られている。彼らは、権利や信念を捨てなかったからだ。
当局はただちにすべての恣意的拘禁をやめ、被拘禁者を守るために、国際的な人権基準に則った法律を制定すべきである。
最も基本的な権利を被拘禁者から奪っている政策は、根本的に変える必要がある。その政策を変えない限り、当局は脅威と見なす個人を罰する方法を新たに考え出すだけである。
アムネスティ国際ニュース
2013年12月17日
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