- 2013年12月26日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:インド
- トピック:性的指向と性自認
最高裁の判決に抗議する活動家たち (C) AFP/Getty Images
インド最高裁判所は、同意に基づく成人の同性間の性的行為を犯罪とする判決を下した。インドの人びとの自由にとって最悪の一日である。
この判決は、平等、プライバシー、尊厳という人びとの権利に大きな打撃となる。これにより基本的人権の擁護が数年後退することになってしまった。
2009年、デリー高等裁判所は「同意に基づく成人の同性間の性的行為を非合法とすることは差別であり、憲法が明示する平等・プライバシー・尊厳を侵害する」という歴史的な裁定を下したが、この裁定が今回覆されたのである。
最高裁は「自然の摂理に反する性的行為」を犯罪とする刑法第377条は、憲法上有効であると述べた。また政府がこの法律を廃止する立法上の措置を取ることも考えられる、との見解も示した。
本件はもともとナズ財団(インドのHIV/エイズや性に関して活動しているNGO)の訴訟によって始まった。そして今回、奉仕活動や宗教団体などからなる民間グループが、2009年のデリー高等裁判所の判決を不服として最高裁に上訴したのである。
インドの中央政府は2009年の判決を上訴してはいない。2012年3月、法務長官は最高裁で「政府はデリー高等裁判所の判決に何ら誤りを見出せず、同様の正当性を認める」と述べている。
同性愛が「インドのものではない」という主張に異議を唱えて、法務長官は「刑法377条の導入は既存のインドの価値観と伝統を反映するものではなく、むしろ入植者の道徳的価値観に伴い、彼らによってインド社会に押し付けられたものである」と述べた。
2012年の国連人権理事会に先んじて公表されたインドの人権報告では、政府は、高裁の判決を人権問題の改善を示す事例として引用した。
インド政府は、同性愛を非犯罪化することに賛成するとしている。今こそその実行の時である。議会は、12月11日に否定された権利と自由を回復させるための法律を直ちに通過させなければならない。
追加情報:
- 2009年、デリー高裁は「同性愛を犯罪化すれば、法執行機関による嫌がらせや搾取、屈辱的で残忍な扱いを社会の広範囲にわたる多くの人びとが受けることなる」と述べた。
- 国連人権委員会(市民的および政治的権利に関する国際規約の履行を監視する専門機関)は、「私的な成人の同意に基づく同性間の関係を罰するために使われる法律は、プライバシーと差別を受けない権利を侵害している」と述べた。
またアムネスティは、男性やトランスジェンダーの人びとに対する性的暴行を犯罪とする特定の法律の可決を、議会に強く訴えている。
アムネスティ国際ニュース
2013年12月11日
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