- 2013年3月27日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
- トピック:地域紛争
西岸地区北部のジャイユス村の農民たちは何年もの間、フェンス・壁があるため自分たちの土地になかなか行けない。(C)Amnesty International
本日、米国のオバマ大統領がイスラエルへの最初の公式訪問をしたことに合わせ、被占領西岸地区を貫いてイスラエルが築いた、パレスチナ人と彼らの土地を分離するフェンス・壁、そしてさらに多くの土地を収奪している入植地が、現在も進行する国際法違反であると、アムネスティ・インターナショナルは声明を出した。
西岸地区北部のジャイユス村の農民たちは、軍のフェンス・壁(この地域では重警備の電気柵が使用されている)のせいで何年も自らの土地に行くことが難しくなっている。さらに、この数日間、イスラエル人入植者たちは、障害をさらに増やしている。
イスラエル高等裁判所は2009年、「農民たちに一部の土地を返還するためにフェンスは位置を変えるべきだ」との判決を下した。ここにきてようやく軍は、その判決に基づく対応をはじめた。
しかし、入植者たちは、たとえわずかでも土地を返還することが彼らの入植地拡大計画を阻むものだとして、軍がフェンスの位置を変えることを妨害している。入植者たちがツフィム・イスラエル人入植地北部にある農民たちの土地にトレーラーハウスを設置したのも、その対応だろう。これはまさに言語道断である。
農民たちの暮らしを奪う違法な入植
国際法は被占領パレスチナ地域からフェンス・壁と入植地を撤去するよう求めているが、現地の状況は、その要求とはほど遠い。あたかもブルドーザーが、ジュネーブ諸条約と国際司法裁判所を踏みつけて土地拡大を進めているかのようだ。
オバマ大統領はイスラエル人入植計画の停止について強気の発言をしてきた。現地訪問は、ジャイユスを訪れてこうした国際法違反を直接見る絶好の機会だ。
3月17日、入植者とみられる男女の若者が、ジャイユス村農民が出入りする軍フェンスのゲートの横でデモを行なった。 彼らはパレスチナ人たちの壁反対のデモを真似て、数時間農民たちが入ってくるのを押しとどめた。
イスラエル政府が入植地拡大のために以前指定した土地が、パレスチナ人に返還されているものとして、入植者は高裁判決に反対している。
ジャイユスの農民たちは2.4平方キロメートルの土地が返還されるのを楽しみにしている。しかし、新ルートのフェンスが建設中であるために、生計の拠り所となっている肥沃な農地が広範な損害を受けていることに落胆している。
しかも、重警備の電気柵のルートが変更されても、ジャイユスの半分を優に超える5平方キロメートルの土地には入れないままである。
たとえ、入植者たちのトレーラーハウスが撤去され、軍のフェンス・壁の位置変えがあっても、国際法の要件を満たしてはいない。
被占領パレスチナ地域を侵食している軍の壁は違法で撤去されるべきものと、国際司法裁判所は述べている。また壁による損害に苦しんでいる人びとには補償を受ける資格があるとも述べている国際法の下で明らかなのは、イスラエル人入植地は違法で撤去されるべきものということだ。
当該地域でフェンス・壁が建設される間、イスラエル軍は村人たちに、自由に自分たちの土地へ行くことを許可すると約束していた。建設直後は、たいていの農民たちに許可が下りた。しかし、やがて軍は許可更新を徐々に拒むようになり、農民たちやその家族の生計手段を奪うようになった。
ジャイユスは3500名の住民からなる農村で、何らかの形で全員が生計を農業に依存している。ジャイユス自治体の推計によると、ジャイユスの農民たちの中で自分の土地へ行く許可を得ている者は現在、半分にも満たない。
被占領パレスチナ地域の中で50万人余りのイスラエル人に住居を提供している入植地は130あまりあるが、その1つ、ツフィム入植地はジャイユスの西にある。入植地は差別からの自由と適切な生活水準を保つ権利などパレスチナ人の一連の権利を侵害するものとなっている。
アムネスティ国際ニュース
2013年3月21日
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