- 2012年11月27日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:
- トピック:死刑廃止
国連総会人権委員会で、死刑執行停止を求める投票が行われた。この投票は、「極刑の使用に終止符を打つ」という世界的な取り組みに、さらなる勢いを与えた。
社会、人道、人権問題に取り組む総会の第3委員会は19日、死刑執行停止を求める4つ目の決議案を採択した。執行停止決議は2007年の最初の採択以来、着実に支持を増やしてきている。
第3委員会の投票では、賛成110カ国、棄権36カ国、反対39カ国で、前回2010年の投票時より賛成が1カ国増え、反対が2カ国減っている。この決議案は世界のあらゆる地域からの、過去最高の91の国連加盟国によって共同提案されたものだ。
この投票は、死刑廃止に向けての世界の取り組みが滞ることなく続いていることを、あらためて明らかにした。
1945年の国連の創設時には51の加盟国中、死刑を廃止していたのは8カ国に過ぎなかった。今日、94カ国が全ての犯罪に死刑を廃止しており、193の加盟国中137カ国が法律上または事実上死刑を廃止している。
新たに賛成票を投じた国は、中央アフリカ共和国、ニジェール、チュニジア、南スーダンなどである。さらに明るい兆候と言えるのは、アフガニスタン、パプアニューギニア、インドネシアが反対から棄権に回ったことだ。賛成となった国の殆どがアフリカ地域の国々だ。残念なことに、オマーンとモーリタニアが支持を撤回し、モルジブとスリランカが支持から棄権となった。
決議の言い回しを弱めることを目的とした5つの修正案は、決議案の投票前に否決された。
第3委員会からのメッセージは明らかだ。世界中の政策決定者がこの機会を捉え、死刑執行停止を実現するために一致団結しなければならない。
第3委員会での投票は、今年12月の総会本会議での決議の行方を占う上で重要だ。死刑停止の決議もこの本会議で承認される見通しだ。国連総会の決議は法的拘束力はないが、道義的、政治的に少なからず重い。
アムネスティ・インターナショナルは、すべての国連加盟国に本会議での支持を要請する。死刑存置国は、全面廃止への第一段階として直ちに執行停止をすべきである。
背景情報
死刑執行停止に関する最初の国連総会決議62/149は2007年12月に、賛成104票、反対54票、棄権29票で採択された。
国連総会は2008年に63/168、2010年に65/206と2つの決議を採択しているが、どちらも地域を超えて支持を拡大している。2008年は賛成106、反対46、棄権34、2010年は賛成109、反対41、棄権35だった。
2007年に始まったこの革新的な死刑執行停止決議の採択に勢いを得て、世界中で市民や政府組織が死刑廃止への取り組みを新たにした。
2007年12月以来、声明、宣言、決議を通して国連の死刑執行停止に対する支持が表明されている。
例えば、人および人民の権利に関するアフリカ委員会は2008年、同様の決議を採択し、死刑廃止を視野に入れた執行停止を遵守するようアフリカ諸国に呼びかけている。
米州人権委員会も2012年8月の米州死刑の報告書の中で、同地域の国々が「段階的な死刑の廃止に向けての一歩として死刑の停止を課す」よう勧告している。
欧州安全保障協力機構(OSCE)も同様に死刑廃止をしていない加盟国に対して停止を求めている。
世界人権宣言は死刑を生命に対する権利を侵害するものと宣言している。アムネスティは、犯罪の種類や状況、犯罪の有無、犯罪者の人間性、死刑執行方法などを問わず、例外なく死刑に反対している。
アムネスティは、国連による死刑廃止に向けての執行停止の呼びかけを支持し、キャンペーンを続けている。
アムネスティ国際配信ニュース
2012年11月19日