- 2012年11月19日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ブラジル
- トピック:「テロとの闘い」における人権侵害
リオデジャネイロ最大のファヴェーラ。(C) AI
リオデジャネイロ最大のファヴェーラ(スラム街)の一つにブラジル当局が立ち入り、武装した犯罪組織から街を取り戻す掃討作戦を開始する。それに先立ち、アムネスティ・インターナショナルおよび連携NGOは数万人もの住民の人権が侵害されないよう、彼らを対象に人権に関する情報を提供している。
11月6日から、アムネスティと地元の2つのNGO、マレ環境整備ネットワークとファヴァーレ・モニターは、マレ地区のスラム街住民に5万部に及ぶ人権情報集を配布し始めた「私たちはマレの住民で人権がある」というスローガンを掲げたキャンペーンは、最近、同様の掃討作戦でリオのスラム街に立ち入った警察治安維持部隊が犯した住民の人権侵害を繰り返さぬことが目的である。
「犯罪組織に対する闘いだからといって、治安維持部隊が地域住民の人権侵害を含め何をしてもいいという考え方を打ちこわしたい。犯罪が蔓延する地域の鎮圧は、スラム街の住民を始めとするすべての市民の権利を保証してこそ正当化されるものです」。アムネスティのブラジル担当ディレクターはこのように語った。
NGOが配布している情報集は、スラム住民が通りを歩いているときでも、家にいるときでも、警察官に接触する場合に知っておくべき彼らの権利と義務に関する情報が含まれている。
情報集は、捜索令状なしの家宅捜索、個人に対するあらゆる差別、住民密集地域での銃器による住民への脅威など、容認できない警察行動も紹介している。
アムネスティとこれらNGO団体は、リオデジャネイロの警察が警察としての義務を果たしているのだということは認めるが、マレ地区の住民に対し敬意と礼儀を持って接するよう求める。
「このキャンペーンの目的は、ファヴェーラの人々が自らの安全と地域の安全を確保できる力を持ってもらうことです」とマレ環境整備ネットワークのディレクターは述べた。
国と州自治体は、2014年までに犯罪率の高い地域に40の警察治安維持部隊を配置して、リオデジャネイロのファヴェーラの高犯罪地域を「平和にする」ために協力し合っている。20年もの間、犯罪組織や過激派組織に支配されていた地区もあるファヴェーラの法的取り締まりを強化するほか、市の最も貧しい地域になくてはならない社会福祉サービスを持ち込むことを目指している。
マレ地区は16のファヴェーラからなっており、住民数は13万人で、ブラジルの市街人口数で上位20%に入る。
「私たちは、街はすべての人びとのためのものだと考えています。マレ地区に住んでいようと、もっと豊かな地区に住んでいようと、肌の色、性的指向、容貌、社会的階級などによって警察官が住民を差別的に取り扱うのを許してはいけません。
「人びとが自分たちの街を取り戻し、まずそこを、そして他のどの街も安全に自由に行き来できるようになるための第一歩として、自分たちがどんな権利を持っているか知ってもらいたいのです」とファヴェーラ・モニターのディレクターは語った。
アムネスティ国際ニュース
11月5日
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