設立から10年、今こそ各国は国際刑事裁判所を支持するべきである

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2012年11月 7日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:
トピック:国際人権法

国際刑事裁判所(ICC)が、想像を絶する犯罪の犠牲になった人びとの正義を求め続けて10周年を迎えた。(c) Amnesty International
国際刑事裁判所(ICC)が、想像を絶する犯罪の犠牲になった人びとの正義を求め続けて10周年を迎えた。(c) Amnesty International

国際刑事裁判所(ICC)が、想像を絶する犯罪の犠牲になった人びとの正義を求め続けて10周年を迎えた。アムネスティ・インターナショナルは、「世界各国の政府が、ICCに対して相応の支持を示す時である」と述べた。

ICCの存在そのものが、憎むべき犯罪の被害を受けた世界中の人びとに正義はなされるという希望を与えてきた。

各国政府はICCへの政治的、財政的支援を公に約束することで、支持を示すべきだ。

アムネスティは1994年以来、ジェノサイド罪や人道に対する罪、戦争犯罪、それぞれの加害者を裁くための常設の国際法廷の設立を求め、世界中の何千ものNGOと共にキャンペーンを展開してきた。

そのキャンペーンは、ICCの設立条約であるローマ規程が2002年7月1日に発効し、原加盟国60カ国が署名をした時に結実した。10年後には締約国は倍以上に増加し、その数は121カ国になった。

今日、ハーグにあるICCは、中央アフリカ共和国、コートジボワール、コンゴ民主共和国、ケニア、リビア、スーダン・ダルフール地方、ウガンダで捜査および犯罪の訴追を開始している。

また、アフガニスタン、コロンビア、ガザを含む他の地域で申し立てられている犯罪を新たに捜査するかどうかも決定される予定である。

ICCは今年3月14日、その最初の判決において、トマ・ルバンガに対して、コンゴ民主共和国において子ども兵士を集め、使用したとして有罪判決を下した。

このような罪を犯そうとしている者が今いたとすれば、よく考えてほしい。遅かれ早かれ自分がやった行為の責任を問われることになる。

しかし、人権団体は、6月15日に就任した検察官ファトウ・ベンソーダの前途は多難である、と警鐘を鳴らしている。ローマ規程に署名した一部の国では、被疑者を逮捕していない。ダルフールで行われたジェノサイドおよび人道に対する罪および戦争犯罪でICCに指名手配されているスーダン大統領オマル?バシルもその一人だ。

ICCから逮捕状が出ているにもかかわらず、バシルは裁きから彼を守ることを厭わない友好国を頻繁に公式訪問している。

それらの政府が、実効性のあるICCへの支援と断固とした逮捕状の執行をしていないことは、極めて問題である。しかし、これらの状況の改善は、人権侵害の被害者にとって当然のことである。

国連安全保障理事会は、ダルフールとリビアの問題には対処した。しかし、シリアもその一つだが、ICC不参加の国での人道に対する罪には対処していない。

アムネスティはICCが被害者に正義と賠償を提供する資金を確保できるよう各国政府が役割を果たすよう呼びかけている。現在、ICC設置を主導したイギリス、ドイツ、フランス、日本、イタリアなどの国ぐには、ICCに十分な資金提供を拒否している。これによって、ICCは志半ばで道を閉ざされてしまう懸念が大きくなっている。

多くの国ぐには、いまだICCの被害者信託基金に対する定期的な任意拠出を行っていない。信託基金は、被害者に対する支援や、ICCが命じた被害者への賠償を実施する役割を負っている。

信託基金の活動は、被害者の苦しみに寄り添い、彼らの人生の再建に寄与するために必要不可欠である。被害者のリハビリテーションやケアを提供する活動を通じて、信託基金はすでに、多くの被害者の人生に好影響を与えている。

しかし、その活動は、さらに多くの資源を必要とする。アムネスティは各国政府に対し、人権侵害の加害者を裁くことや、被害者が重大な犯罪に対する賠償を受けられるようにするために、ICCに協力することを再度表明するよう要請する。

2012年7月1日
国際事務局発表ニュース