- 2012年11月 6日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
- トピック:地域紛争
タミミの妻ナリマンは「警察の逮捕は冷酷非情でした」と話した。(C)private
イスラエル軍当局は、被占領西岸地区のパレスチナ人活動家への一連の嫌がらせや脅迫、恣意的拘禁を止めなくてはならない。
バッセム・タミミは、先週、パレスチナ人の土地へのイスラエル人入植者たちの侵入に対し、非暴力の抗議をして逮捕された。彼は現在、勾留されている。10月31日にオフェール軍事裁判所に出廷して、実刑判決を受ける可能性がある。
単に表現と集会の自由の権利を平和的に行使しただけで、またもやタミミは勾留されている。アムネスティ・インターナショナルは彼を良心の囚人と考えており、即時無条件に釈放されるべきである。
■非暴力の抗議活動
タミミはラマッラーの北のシャール・ベンジャミン入植地のスーパーマーケットで非暴力のデモをして、10月24日に逮捕された。100名余りの抗議者が集まり、占領の終結とすべてのイスラエル製品のボイコットを訴えた。
彼は、警官への襲撃や未認可のデモへの参加、公的秩序に反する活動という罪に問われている。
もし後の2つの「罪」で有罪となれば、前回の裁判による1つもしくはそれ以上の執行猶予の刑にも服さなければならなくなるだろう。すなわち、未認可のデモへの参加で2ヵ月、「公的秩序に反する活動」で17ヵ月の刑である。
抗議の模様を撮った映像を見た後、軍判事は法的手続きの間、タミミは自宅軟禁にすべきと判決した。軍検察はこの判決に対して上訴し、彼はオフェール刑務所に収監されたままである。
タミミは以前、西岸地区のイスラエル人入植地に対する非暴力の抗議活動を定期的に組織したかどで、この5月に13ヵ月の禁錮刑を言い渡された。当時、アムネスティは彼を良心の囚人と見なし、即時かつ無条件の釈放を要求した。
被占領西岸地区におけるイスラエル人入植地の設置と拡大は、国際人道法に違反している。
■暴力的な逮捕
目撃者やメディアの報道によると、抗議者たちは10月24日にスーパーマーケットからし出発した際に、イスラエル警察と治安部隊に殴打された。治安部隊はまた、目つぶし閃光弾を発射した。
タミミの妻、ナリマン・タミミも抗議活動に参加しており、アムネスティに次のように語った。「警察の逮捕は冷酷非情でした。夫を地面に投げ飛ばし、体を地面に押しつけて手錠をかけました。近づこうとすると、みんな殴られました。警察は臆病で神経質になっていたようで、早く終わらせたかったのです」
警察が無用で過度な力を行使したにもかかわらず、ある警察官が自分の手を殴られたという証言を元に、軍検察はタミミを襲撃のかどで起訴した。
アムネスティは証人たちと話し、抗議活動の数々のビデオをチェックした結果、バッセムや他の抗議者たちが暴力を使ったという証拠を見あたらなかった。タミミは非暴力の抵抗活動に関わっており、長く平和的な抗議活動を行なってきた実績がある。保釈されたばかりの別のパレスチナ人の抗議者も同様の罪状で起訴されている。
タミミは逮捕された後、妻と連絡を取ろうとした。
タミミの妻はアムネスティに語った。「夫はまだ携帯電話を持っていたので、連絡があり『どこかの監房にいる』とのことでした。『胸の中の何かが壊れた。動いたり、息をすることもできない。とても疲れた』とも言っていました。そのとき、携帯を取り上げられ、それ以上、話をすることができませんでした」
■入植者たちによる侵略
バッセム・タミミは、西岸地区、ラマッラーの北西21kmにあるアル=ナビ・サレ村の出身である。
2008年7月、近くのハラミシュのイスラエル人入植者たちがカウス水源を使い始めた。その水源はアル=ナビ・サレにあり、そこや近郊のデール・ニサム村の作物用に灌漑するために使用されてきた。2009年2月には入植者たちは水源地に建造物を建て始めた。
入植者たちがパレスチナ人の私有地に建造物を建設したこと、またその工事が木々や他の財産に損害を与えることにパレスチナ人たちは苦情を申し立てた。入植者たちに対するパレスチナ人の苦情を、イスラエルの警察は「証拠不十分」として日常的に封殺してきた。
西岸地区のほとんどを管理する軍の機関であるイスラエルの市民局は、集団で、また金曜日にパレスチナ人たちがカウス水源に行くことを禁じている。一方で、入植者たちは自由に行くことを許されている。
■継続的なデモ
週毎のデモは2009年12月9日に始まった。毎週金曜日、アル=ナビ・サレの住民と連帯する活動家たちが正午頃、村のセンターに集合し、水源に向けて平和的に行進する。彼らは、目つぶし閃光弾、トウガラシ・スプレー、警棒、銃の使用を含むイスラエル軍による無用で過度の武力行使に繰り返しあってきた。
イスラエル軍による武力行使が始まるとすぐデモは解散し、まず水源にたどり着くことができない。イスラエル軍は定期的に村を襲撃し、たいていは夜間に行ない、家宅捜索や逮捕をする。逮捕された中には15歳未満の子どもたちもいる。
西岸地区に適用されるイスラエルの軍法は表現と平和的集会の自由に包括的で恣意的な制限を加えている。「政治的な目的、または政治的と解釈されうる事柄のために」10名もしくはそれを超える人びとの集まりを計画するには、イスラエル軍の事前許可を得ることを要件としている。
ナリマン・タミミはアムネスティに対し、アル=ナブ・サレや抗議行動が一般的になっている全地域で、警察は極端な暴力を振るっていると言い、「(抗議のためには)スローガンを唱えて意見を表明する以外ないのです」と述べている。
バッセミ・タミミとその家族は、アル=ナビ・サレの抗議のメンバーとしてまた村民の委員会のコーディネーターとして、イスラエル軍による苛酷な対応の標的となっていた。
デモが始まってから、彼の家は何度も襲撃され略奪された。彼の妻は2度逮捕され、子どもたちの内、2人は負傷した。ワエドはゴム弾で足を撃たれて5日間、入院した。またモハメドは直接撃たれた催涙ガス弾が肩に命中し負傷した。
バッセム・タミミは今まで、イスラエル軍によって11回逮捕されたが、軍裁判所によって有罪とされたのは1度だけである。アムネスティは、その罪状には根拠がないと考える。
(補足)
11月2日には、バッセム・タミミの息子、ワエドがイスラエル軍兵士によって逮捕された。(11月2日付のアムネスティ国際ニュースから)
アムネスティ国際ニュース
2012年11月6日
関連動画
Palestinian prisoner of conscience Bassem Tamimi speaks out(英語)
http://www.youtube.com/watch?v=cvOMdTRwLwo
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