ロシア連邦:野党議員秘書への「拉致・拷問」を調査すべき

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2012年11月 2日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ロシア連邦
トピック:危機にある個人

武力を行使するロシア警察(C) AFP/Getty Images
武力を行使するロシア警察(C) AFP/Getty Images

ロシア下院議会の野党議員の秘書がウクライナで拉致され、ロシアに強制送還されたのちに拷問または虐待を受けた、という申し立てを当局は調査すべきである。アムネスティ・インターナショナルは、ロシア連邦検事総長宛の書簡の中でこのように要請した。

レオニード・ラズボジャエフは10月19日、亡命について国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のキエフ事務所に接触を図ったあと、ウクライナで拉致された。その3日後、ロシア連邦捜査委員会による尋問を受けたとされている。

拉致があったのは、大規模な騒乱を企てたという刑事事件の容疑で、彼がロシアで指名手配された日だった。政治組織「左翼戦線」のセルゲイ・ウダリツォフと、その秘書のコンスタンティン・レベデフも容疑の対象だった。

ラズボジャエフがロシア連邦政府の職員に拉致され、拷問ないし虐待を受けたという申し立ては非常に憂慮すべきものである。ロシアは実効的かつ独立した調査を、迅速かつ徹底的に行わなければならない。

このような行為を認め、実行に移したすべての当局者の責任を追及するべきである。さらに、ウクライナの役割が不明瞭だが、もしこの事件に何らかの関わりがあるのなら、ウクライナの関与については独立した公平な調査によって判断されるべきである。

自白と証言は、ロシアでラズボジャエフが警察に勾留されている間に非合法な尋問で強制的に引き出された。また、それらは彼と他の2人を罪に陥れるために使われている、と伝えられている。10月21日にラズボジャエフは、ロシアの裁判所から警察に連行されるときにビデオを用いて申し立てを行い、このビデオが後日インターネットで公開された。

ロシアは市民的および政治的権利に関する国際規約、拷問等禁止条約、そしてヨーロッパ人権条約の加入国であること、また、これらすべての規約と条約が拷問やその他の残酷で非人道的かつ品位を傷つける扱いや刑罰を禁じていることを、アムネスティは書簡の中で強く訴えた。

ロシア連邦捜査委員会は10月22日に、これらの申し立てを調査すると発表した。

アムネスティは、彼の申し立てが捜査委員会自体に向けられたものであることから、捜査委員会による調査では実効性と独立性が保たれないと懸念している。

ラズボジャエフとレベデフは、自身の弁護士との接見を禁止されているという。またラズボジャエフには、彼と家族が選任した弁護士の代わりに、選んでもいない新しい弁護士がついているとも言われている。

弁護士が依頼人との接見を阻まれているという証言は、ロシアの刑事訴訟法に違反し、また、ラズボジャエフとレベデフの弁護人を選ぶ権利を侵害するため、これを是正する必要がある。

このような対応では、当局が当人やこの刑事事件の他の被告人に対し、国際基準に則った公正な裁判を行う意思があるのか疑問である。

アムネスティ国際ニュース
10月24日

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