- 2012年11月 2日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:シリア
- トピック:変革を求める中東・北アフリカ
シリアのアサド大統領。囚人に対し、恩赦を発表した。(C)AP
宗教的な祝日イード・アル・アドハーを控えたシリアが、多数の人びとに恩赦を与えた。しかし、これでは不十分だ。政府は拘束されているすべての平和活動家や良心の囚人を解放すべきである。
アサド大統領は10月23日、大半の犯罪者の減刑もしくは刑を免除することを発表した。
しかし、恩赦はまだ起訴されていない人に対し適用される。表現の自由や平和的集会、医療の提供、人道的支援といった基本的権利を単に行使して拘束されている多くの人びとは、恩赦の対象外だ。またこの恩赦は、平和活動家たちを投獄するためにも適用される7月2日の反テロリスト法で、起訴または有罪判決を受けた人も除外している。
これは昨年以来、6度目の恩赦の布告である。しかし、数百人にのぼる平和活動家や支援者、弁護士、医師やジャーナリストたちが、再び除外されるだろう。皮肉にも、その多くのケースが、起訴なしで長期間拘束されてきたためである。
シリア当局は無条件かつ速やかに、良心の囚人を解放するべきだ。他の人たちも刑事犯罪で起訴され、公正な裁判の国際基準に従って裁判にかけられるか、釈放されるべきである。
国際人道法の原則を守るべき
シリア政府は、国連のシリア審査委員会や他の独立した国際的な監視機関に対して、国内のすべての拘禁所を含む施設を自由に視察する許可を直ちに与えるべきである。
男性、女性、子供を含む数千人ものシリア人が、去年の反政府抗議運動の開始以来、恣意的に勾留されている。そして多くのケースでは、拷問や虐待が行われてきた。一部は強制失踪させられている。
シリアの治安部隊は、国中の被拘束者に対する拷問を組織的に実施してきた。体制からの離反者も含む元被拘束者は、「性的虐待を含めた拷問を受けた」と話している。強姦、性器や他の部位への電気ショック、とくに敏感な部位への警棒やケーブルでの強打、火で焼き付ける、強制的な脱衣などの暴行だ。
シリア自由軍など反対勢力のメンバーには、政府軍の虐待と比べれば規模はかなり小さいが、治安部隊や民兵シャビーハなどの協力者による拷問や虐待を受けた人びともいる。
今回の恩赦に加え、シリア政府はイード・アル・アドハーの期間中に国連の提案した停戦を行うことに同意した。
もし戦闘の一時停止が実際に守られるなら、すべての党は、戦いのために停止される人道的な脅威を顧み、紛争の一時停止をもたらすべきである。
すべての党派は、紛争における人びとの苦しみを最小限にするために、国際人道法の原則を守ることに同意する必要がある。
アムネスティ国際配信ニュース
2012年10月25日
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