- 2012年9月19日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
- トピック:地域紛争
抗議を行うパレスチナ人(C) ABBAS MOMANI/AFP/GettyImages
イスラエル政府は、ハンスト中のパレスチナ人サメール・アル=バルクを釈放するか、病院に入院させるべきである。彼は2010年7月以来、起訴も裁判もなく拘束されている。
サメール・アル=バルク(37歳)は現在、ラムレ刑務所内のイスラエル監獄局(IPS)医療センターに拘禁されている。彼は今年の4月15日以来、5月半ばの8日間を除いて、計139日間ハンストを行っている。
サメール・アル=バルクは、これまでいずれの罪状においても起訴されておらず、刑務所内で瀕死の状態にある。当局は、彼を起訴せず公平な裁判にかけないのであれば、直ちに釈放すべきである。せめて、一刻も早く民間の病院に入院させ、専門的な治療を受けられるようにするか、自ら医療機関を探せるようにしなくてはならない。
サメール・アル=バルクの弁護士は、「サメールは点滴を受けてはいるが必要とされる専門的な治療は受けておらず、また受けられるようになるとも言われていない」と語った。
8月27日から2日間、アッサフ・ハロフェ公立病院に移される前、肝臓を悪くし、脈拍数も血圧も低かった。
8月28日、病院で最初の司法審査が行われた。同席した弁護士によると、サメール・バルクは病院のベッドに拘束された状態であった。
弁護士が語ったところによると、サメールは審査中、話すことに大変苦労し、おそらく自分の置かれた立場をよく理解することもできなかった。結局、審査は9月6日に延期された。
彼は翌日、IPS医療センターに戻され、仲間の行政拘禁者ハッサン・サファディと同様に、独房に拘留されている。ハッサンは6月21日に始めた2度目のハンストの結果、生命も重大な危険にある。
イスラエルが、サメール・アル=バルクのような瀕死の人間に適切な医療を受けさせず、病院のベッドに拘束することは、国際人権義務に違反した非人道的かつ品位を傷つける処遇に等しい。
8月30日に医療クリニックを訪問した弁護士によると、アル=バルクは衰弱のあまり面会ができず、ベッドから降りることもできなかった。
IPSは、地元のNGO「人権のための医師団・イスラエル」に、アル=バルクや他のハンスト中の者を9月10日(月)に訪問する許可を与えた。しかしそれは手遅れになるかもしれないと懸念されている。
当初、サメール・アル=バルクは、今年の初めに30日間のハンストを行い、5月14日にやめた。
しかし、8日後の5月22日、拘留命令が再び更新されたため、ハンストを再開した。
背景情報
アル=バルクの兄弟のサミール・ヘルミ・アル=バルクによると、サメールは1996年にヨルダンを発ってパキスタンに留学し、科学の修士号を取得した。
しかし彼はイスラマバードでイスラム研究の博士号をとるため出願したところ、2003年7月15日、パキスタン政府によって逮捕され14日間拘禁された。アル=バルクは、逮捕の理由を知らされていない。
彼はその後、アメリカ政府に引き渡され、パキスタン国外にある所不明の非公表な刑務所にさらに3か月間収容された。
アムネスティ・インターナショナルに宛てた私信の中で、彼は「その間、さまざまな拷問を受けた」と主張している
アル=バルクは2003年10月26日、ヨルダン政府に引き渡された。そこでは、罪状もなく、拘束されている理由も告げられないまま、4年以上の間拘束された。
彼は「肉体的、精神的な拷問を受けた。人権団体に知られないようにし、家族と連絡をとることも許されなかった」という。
刑務所間で数回の移送を経た後、2008年1月に保釈された。
ヨルダン政府は2010年4月彼を再び逮捕し、3か月後イスラエル政府に引き渡した。
アムネスティ国際ニュース
2012年9月6日
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