- 2012年8月30日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
- トピック:強制立ち退き
レイチェル・コリーは2003年、軍のブルドーザーからパレスチナ家屋を体を張って守ろうとして轢き殺された。
イスラエルの裁判所は、イスラエル政府はレイチェル・コリーの死に責任を負わないと判決した。アムネスティ・インターナショナルはこれを強く非難し、「判決は被占領パレスチナ地域(OPT)の民間人や人権擁護活動家に対するイスラエル軍の侵害行為を免責する従来のパターンをまた踏んだ」と述べた。
「レイチェル・コリーは、非暴力の米国人抗議者で、迫ってくる軍のブルドーザーからパレスチナ人家屋を守ろうとして殺されました。コリーの死から9年余り経っても、イスラエル当局は『徹底的かつ信頼でき透明性のある』調査を行うという約束を果たしていません。それどころかイスラエルの裁判所は問題がある軍の調査を支持し、またもや軍の責任と義務を問わない判決を出したのです」と、アムネスティ・インターナショナル米国支部の中東・北アフリカ担当アドボカシー部長のサンジーヴ・ベリーは述べた。
ハイファ地方裁判所のオデッド・ゲルション判事によって下された判決は、2003年3月16日、ガザ地区南部のラファでの作戦にD9キャタピラー・ブルドーザーは従事していたため、「生じた損傷」についてイスラエル軍に責任はないとするものであった。
国際人道法は緊急の軍事的必要性がない限り財産破壊を禁じているし、いかなる軍事作戦においても民間人保護のために不断の注意が払われるべきと定めている。
「レイチェル・コリーは殺された時、蛍光性のオレンジ色のベストを着用していたので、民間人とはっきり識別されていました。彼女や他の非暴力の活動家たちが取り壊しに反対して何時間も平和的デモをしていた時、イスラエル軍のブルドーザーが彼女をひいたのです」とベリーは述べた。
判決は、2003年にレイチェル・コリーの死亡後1カ月以内に軍が行った不備ある調査を支持することで、法廷に提出された目撃証言を含めた重要証拠を無視したようである。軍調査の全容はまったく開示されていないが、米政府高官は、調査が「徹底的かつ信頼でき透明性のある」ものではなかったと思う、と述べた。
アムネスティはイスラエル軍の調査体制について、何年も同様の批判をしてきた。例えば、アムネスティは、2008年12月27日に軍が開始した「キャスト・レッド(鋳込まれた鉛)」作戦中の侵害行為についての国防軍司令官や軍警察の調査を検証した。この作戦ではガザ地区の数百名の非武装の民間人たちが殺された。
イスラエル軍の調査は、独立性や中立性、透明性、適切な専門知識、十分な調査力を欠いている。紛争間になされた侵害行為についてイスラエルと事実上の統治者であるハマス双方が信頼できる調査をしなかったため、アムネスティはガザの状況について国際刑事裁判所に付託するよう要請した。
被占領パレスチナ地域(OPT)のパレスチナ人たちは、イスラエル軍によって余りにも頻繁に殺傷されてきた。しかし、彼らがイスラエルの文民裁判所に訴えるには大きな障害が立ちふさがっている。つまりイスラエルの文民裁判所がOPTでの民間人殺害を検証することはまれで、ガザについては特にそうだからである。裁判を求める者は法外な料金を請求され、たいていのパレスチナ人には手が届かない。イスラエルによるガザ地区の継続的封鎖の一環として、イスラエル当局はガザのパレスチナ人被害者や証人が法廷で証言するためにイスラエルに入る許可を出さないし、ガザの弁護士はイスラエルの法廷で依頼人の代理もできない。また、イスラエルの弁護士は依頼人に会うためにガザに入ることもできない。
アムネスティはOPTで家屋や他の構造物を破壊するイスラエルの政策を繰り返し強く非難してきたが、被占領西岸地区では取り壊しは今も日常化している。2011年には600余りの構造物が取り壊され、1100名近くが強制立ち退きを受けた。国連人道問題調整事務所によると、今年7月末までで、イスラエル軍は西岸地区の327の構造物を取り壊し、575名が追い払われた。
アムネスティ国際ニュース
2012年8月29日
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