- 2012年8月11日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:スーダン
- トピック:死刑廃止
アムネスティはスーダン政府がライラ・イブラヒム・イサ・ジュムルに下した石打による死刑判決を強く非難し、同政府が刑の執行を停止し、体刑廃止を目的にして刑法改正を直ちに実施するよう要請する。
ハルツームのマヨ刑事法廷は7月10日、1991年スーダン刑法146条により、スーダン女性、ライラ・イブラヒム・イサ・ジュムル(23歳)に姦通罪のかどで石打による死刑を言い渡した。
この石打刑は、本人の自白のみで判決を下し、弁護人を付けることもできないという不当な裁判の結果だった。裁判官は審理中、弁護人を選任せず、これは1991年刑事訴訟法135条に反しており、スーダンの弁護士たちは控訴している。
彼女は現在、スーダンの首都、ハルツームの近郊のオムデュルマン女子刑務所に6ヶ月になる彼女の乳児と共に収監されている。
アムネスティはいかなる犯罪・犯罪者・執行方法でも、全ての死刑に例外なく反対する。
アムネスティはまた、成人の同意の上での性的関係を犯罪化することに反対し、同意の上での性的関係のみを理由として捉えられた人を良心の囚人と見なしている。この行為を含む非暴力行為は、国際法の下で死刑の適用を限定的に認める「もっとも重大な犯罪」の類では決してない。
ジュムルのケースはスーダン国内では、ここ数カ月間で2番目の石打による死刑判決だ。インティサル・シャリフ・アブダラ(20歳)は去る5月13日、石打刑の判決を受けたが、これも彼女が脅迫による自白のみを根拠としている。控訴により、7月3日、彼女は事実上無罪となり、同日釈放された。
どちらの場合も、若い母親で社会から取り残された環境で育った背景を持つ女性である。彼らは自身の権利と自らに科された刑の過酷さに気づいていない。彼らはまた、弁護士をつける権利を奪われており、これは公正な裁判を受ける権利を明らかに犯している。
アムネスティは、ライラ・イブラヒムを良心の囚人と見なし、スーダン政府に対し、彼女の刑の執行停止、「既婚の女性の姦通」のかどでの石打判決の無効、即時で無条件の釈放を求める。
背景
国際法とスーダンの法律は授乳期中の母親の処刑を禁じている。国連人権委員会決議2005/59は、死刑存置国に対して、養護が必要な乳幼児を持つ母親を死刑から除外するよう求めている。2003年にアフリカ連合が採択した「人及び人民の権利に関するアフリカ憲章 女性の権利に関する議定書」(スーダン調印済み)も同様の死刑を禁じる。2005年のスーダンの暫定憲法36条3項は、妊娠中や授乳中の女性に対する死刑の執行を禁じている。
石打による死刑は死の前に耐えがたい苦痛を与えるのが目的だ。この処刑方法は世界人権宣言、市民的及び政治的権利に関する国際規約(ICCPR)、拷問禁止条約(CAT、スーダン調印済み)に違反する。
スーダンの2つの石打判決は、1991年刑法の改正の必要性を訴える。同刑法は猥褻、非道徳行為公衆道徳に反する物品の所持、売買、製造、展示、姦通罪、その他、不明瞭で不正確に書かれた規定が含まれている。究極の体罰である石打刑は、残虐で、非人道的、人の尊厳を傷つけ、ICCPRとCATに違反している。
2008年11月、人および人民の権利に関するアフリカ委員会は同アフリカ憲章の採択国に対し、死刑の即時停止を守るよう呼びかける決議を採択した。多くの国がこの決議に応じ事実上死刑廃止の立場をとったことでアフリカに死刑廃止の流れができた。しかし、スーダンはこの決議を実施に向けた措置を採っていない。
アムネスティ国際配信ニュース
2012年7月30日
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