- 2012年7月26日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:アフガニスタン
- トピック:女性の権利
国内で著名な女性公務員が暗殺された。これにより、なかなか進まないアフガニスタンの人権保護に対するとり組みは、大きく後退する。政府は、暗殺犯を厳しく罰すべきだ。
アフガニスタン東部ラグマーン州の女性省長官ハニファ・サフィは、メタルラム市で、移動中の車に仕掛けられた磁石爆弾が爆発し、死亡した。同乗していた夫も死亡、息子と娘、運転手ほか11人が負傷した。
サフィの殺害は、アフガニスタン人の女性(22歳)が姦通の「罪」でタリバン兵に銃殺されたビデオ映像が公開された直後に起こった。
ラグマーン州当局はこの襲撃をタリバンの仕業だと非難したが、まだ犯行声明は出ていない。
ハニファ・サフィが、アフガニスタンにおける女性の権利の擁護の進展を阻もうとする個人やグループの標的となったのは明らかだ。
このような事件は初めてではない。過去10年以上にわたり、公人の女性が何人も暗殺されてきた。
民間人を標的することおよび殺害することは、生存権を脅かし国際法上の罪でもある最悪の所業だ。
ハニファ・サフィは、各州の同じ役職にいる女性長官が殺害されるのは、カンダハール州の前局長に続き2人目だ。サフィエ・アマジャンは2006年にタリバンと関係する武装グループメンバーによって自宅近くで射殺された。
要職に就く女性や人権擁護家は、日常的に襲撃を受けている。
この種の事件では常につきまとうことだが、当局は事件を適切に調査せず、犯人を公正に裁いていない。
7月8日に開催されたアフガニスタンに関する東京会合においてアフガニスタン政府は、「法の支配、有能かつ独立した司法制度、適切なガバナンス」に基づく安定した国家づくりを誓約している。
もし女性に対する襲撃犯が法の裁きから逃れるならば、この誓約は意味を持たないままだ。
政府は国際的な支援のもとで「女性のための国家活動計画」と2009年制定の「女性に対する暴力撲滅に関する法律」を完全に履行すべきである。
今年5月、クンドゥズ州出身の少女ラル・ビビが地元の警察署長と署員らに集団強かんを受けていたことが明らかになった。
過去10年間、アフガニスタン政府は、人権を侵害する犯罪者、特に公職も含めた女性の人権を侵す者を裁いてこなかった。ラル・ビビ、ナジバ、サフィエ・アマジャンなど様々な事件で、犯人はいまだ逮捕も起訴もされていない。
政府は国際法上の義務および憲法に沿って、女性人権の擁護活動で標的となっている人権擁護家をはじめとしたすべての人びとを守らなければならない。
タリバンや他の反政府勢力との政治的な和解を模索するとき、政府とその支持者たちは、女性を含めたすべての人びとの権利が、急場しのぎの妥協や取引の具にならないようにすべきだ。
背景
公職にあるアフガニスタンの女性や女性の人権擁護家は、同国の人権擁護活動の最前線にいる。彼らは、有力な社会的勢力、政府関係者、タリバンや反政府勢力と組む者らの脅迫や襲撃の対象となる。
2001年のタリバン排除以降、要職に就いている者らを含む女性数名が襲撃を受けている。
- 2010年3月、女性国会議員ファウジア・コフィは、ジャララバードからカブールに移動中に銃を持った男数名に銃撃され負傷した。
- 2010年4月、州議会の女性議員ニダ・キャニは、アフガニスタン北部バグラーンの州都プルイホムリで走行中の車から射撃され、危篤状態のまま放置された。
- 2009年4月、カンダハール州議会議員シタラ・アチェクザイは、カンダハールで殺害された。彼女はアメリカの「諜報活動」に携わっていたとして、タリバンが犯行声明を出した。
- 2008年9月、タリバンの武装犯が最高位の婦人警官マラライ・カカールを射殺した。彼女はカンダハール州の女性に対する犯罪対策局の局長だった。
- 2007年、パルワーン州のラジオ・ピースのディレクターで、軍閥の批判者でもあるザキア・ザキが、二人の幼い息子といるときに射殺された。地元の軍閥とタリバンを批判して、数件の殺害の脅迫を受けていた。
2006年9月、カンダハール州の女性問題省長官サフィエ・アマジャンは、バイクに乗った男に自宅の外で銃撃された。この男はタリバンとの関係が伝えられている。
アムネスティ国際ニュース
2012年7月13日
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