- 2011年2月24日
- 国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
- トピック:地域紛争
レバノンが提出し、120を超える国々が共同提案国となった2011年2月18日の決議S/2011/24に、国連安保理の他の14の構成国は賛成していた。
スーザン・E・ライス米国国連大使は決議についての審議で、「続行中のイスラエルの入植活動の合法性については強く否定する」と述べた。しかしライス大使は、決議は「当事者を交渉のテーブルにつかせ、合意するよう動かす」ものではなく、「両者の立場を硬直化させる」リスクがあるものだと論じた。
米国政府がイスラエルとパレスチナの交渉を再開しようと試みている今、ここにきて「安全保障理事会は入植地の問題に取り組む適切な討論の場ではない」と主張した米国の高官たちもいた。
国連の最も権限のある機関として、安全保障理事会は、被占領パレスチナ地域におけるイスラエル人入植地拡大のような活動によって起きた国際平和・安全への脅威に取り組むために、第一の責任を有するものである。
今回の決議は、イスラエルが法的義務を果たし、中東四者協議(カルテット)と米国政府に対する以前からの約束を守ることを要求するだけのものだった。その決議に対する米国の拒否権行使は、イスラエルが進めている入植地建設に反対するという米国政府の主張と大きく矛盾するものである、とアムネスティは言明する。
イスラエル政府は、これから数カ月内に検討されることになっている更なる建設計画と合わせて、東エルサレムを含む被占領西岸地区での入植地拡大を続けていくと示唆している。イスラエル政府が米国のこの拒否権行使をこれらの計画に対する「ゴーサイン」と解釈し、重要な国際的非難から逃れられると結論づけることを、アムネスティは懸念している。
民間人を占領地に入植させるイスラエルの政策は第4ジュネーヴ条約違反であり、国際刑事裁判所の規程によれば戦争犯罪とみなされる。
アムネスティが繰り返し文書化してきたように、イスラエルの入植政策は本質的に差別的であり、被占領西岸地区のパレスチナ人たちの適切な住宅、水、生活の権利を継続的に侵害する結果となっている。
米国からの援助を打ち切るとの脅しを含めて、国連安保理でこの決議を投票にかけないようパレスチナ自治政府に米国政府が圧力をかけようとしたと報じられていることもまた、厄介なことである。もしオバマ政権がイスラエルとパレスチナの紛争に持続的で公正な解決を促進することに本気ならば、イスラエルの違法な入植地、およびそれらから生じている人権侵害に反対する国際合意をしっかりと支援すべきである。
◆追加情報
18日の投票の後、英国とロシアを含む国連安保理の他の常任理事国は決議への強い支持を表明し、欧州連合外務・安全保障政策上級代表のキャサリン・アシュトンは、決議が通らなかったことに遺憾の意を表明した。
パレスチナ自治政府と事実上の政権であるハマスは、決議に対する米国の拒否権行使を非難した。オバマ政権が国連安保理の拒否権を行使したのはこれが初めてであった。2011年2月20日には西岸地区のいくつかの都市で抗議運動が起き、パレスチナ自治政府は、できれば今週にでも緊急会合招集を要請することで、国連総会に入植地の問題を持ち込む意図を表明した。
アムネスティ発表国際ニュース
2011年2月23日
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