コンゴ民主共和国:戦闘が招く人道的悲劇

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2008年11月11日
国・地域:コンゴ民主共和国
トピック:地域紛争
コンゴ民主共和国の北キブ州では、反政府武装勢力の人民防衛国民会議(CNDP)が10月29日に一方的に停戦を宣言したにもかかわらず、いくつかの地域で戦闘が続いている。

10月にはCNDPの攻撃を受け、大敗した政府軍と民間人数十万人が州都ゴマへ向かってなだれ込んだ。

続発する暴力から25万人以上が逃げてきたことから、北キブ州の国内避難民の数は120万人を超えているものと見られる。その多くは、政府の管理下に残っているゴマ周辺の狭い土地に設置された避難民キャンプで暮らしている。

「北キブ州では人権および人道の悲劇が続いているが、国連安保理事会、欧州連合(EU)およびアフリカ連合(AU)は手をこまねいている。」とアムネスティ・インターナショナルのコンゴ民主共和国調査員アンドルー・フィリップは述べた。「彼らは、民間人を効果的に保護するために必要な増援と装備を国連コンゴ監視団(MONUC)に提供していない。」

避難民キャンプは悲惨な状況にあると伝えられる。新しいキャンプが次々と開設されているものの、その多くは便所や飲料水、住居が不十分のままである。戦場からわずか数百メートルの距離に設置されているキャンプもある。

数十人単位でコレラ患者が発生始めたとも報告されている。人道援助団体は避難民への支援に全力を尽くしてはいるが、避難民のあまりの多さに押しつぶされそうな状況である。

北キブ州の大半の地域は、反政府武装勢力の支配下にあるか、あるいは人道支援の活動範囲外にあるため、数万人の避難民は無視されているも同然で、全く支援を受けられずに生活している。

人権状況はまさに危機的である。キワンジャの支配をめぐり、CNDPと政府が支持するマイマイ民兵組織との間で激しい戦闘が起きた直後の11月5日から6日へかけての夜、マイマイ民兵が潜伏しているのではないかとCNDP戦闘員が家々に押し入って捜しまわったという。

目撃者がアムネスティに語ったところによると、キワンジャ住民の多数の男性、おもに「若い父親と新婚の夫」である18歳から30歳までの男性が、CNDPにより家から連れ出され意図的に殺害された。マイマイ民兵もまた、キワンジャ内または周辺でCNDP支持者と疑われた民間人を不法に殺害したという。

アムネスティが受け取った報告では、今までにキワンジャで72人が埋葬された。明らかに戦闘の際の流れ弾によって死亡した者もいたが、大多数は戦闘後に殺害されていた。遺体には銃創があり、刺し傷も見られた。

10月29日から30日へかけての夜、ゴマで少なくとも18人が殺害されたと伝えられている。明らかにその多くは、町から退却する政府軍兵士による武装強盗と略奪の犠牲者であった。

その後も毎日のように、その他の戦争犯罪と深刻な人権侵害の報告をアムネスティは受けている。マシシとルツルのある地域では、子ども兵士として徴用する目的で子どもの誘拐が頻発しており、民間人への強姦や殺害も続発している。

この危機に対処するため、高官レベルでの外交的活動が多数行われた。国連事務総長が議長を勤める地域別のアフリカ首脳会議が開催され、国連とAUの特別使節団、米国とEUの政治家派遣団など送られた。

「しかし、これらの外交的活動は1人の命も救っておらず、急務である人道支援に必要な道路1本さえ建設していない。」とアンドリュー・フィリップは述べた。「多くの政府がMONUC増強への支持を表明しているが、安保理はMONUCが必要としている増援部隊や専門家の派遣および装備の提供をいまだに承認していない。

アムネスティは国際社会に対して以下の事項を要請する。
  ・これ以上言い訳をしないこと
  ・MONUCの直ちに増強すること
  ・人道支援のために北キブ州全土において安全な経路を確保すること
  ・戦闘集団に対し団結して国際的圧力をかけることで、すべての人権侵害の停止を実現すること

参考資料:
DRC: Demonstrative leadership to address crisis immediately (Press release, 6 November 2008)
Thousands flee fighting in DRC (News story, 30 October 2008)
DRC: Catastrophe looming unless UN troops receive reinforcements (Press release, 30 October 2008)
DRC: Open letter to all members of the Security Council (Letter, 23 October 2008)
 
アムネスティ発表国際ニュース
2008年11月11日

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