先住民族/少数民族 - インドの先住民族

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インドでは461の民族が「指定部族(アーディバシー。ヒンドゥ語で先住民族の意)」として認定されており、先住民族として位置づけられています。彼らはインドの総人口の8.2%を占める、430万人いると推定されています。また、それ以外にも先住民族はたくさんおり、合計で635とも言われています。これらの先住民族が多く住むのはインド東北部にあるラジャスタンから西ベンガルにまたがる7つの州です。インド政府は2007年9月に国連先住民族権利宣言に対して賛成を示しているものの、先住民族に対する公的な見解ははっきりさせていません。

経済発展がめざましいインドでは、開発による住民の強制立ち退きが深刻な問題です。1951年から1990年の間で、2000万人以上の人々が、ダム建設、鉱物資源の採掘、灌漑事業などのために、強制立ち退きをさせられたと言われています。うち1500万人が適切な代替地を用意されませんでした。また、土地の移動を迫られた人々のうち40%が先住民族だとされています。

オリッサ州ボーキサイト採鉱での強制立ち退き問題

オリッサ州は、ボーキサイト(アルミニウムの原鉱)が豊富な土地であり、インド全体のボーキサイトの多くがこの地域に眠っています。そこに目をつけた鉄鋼や非鉄金属関係の大企業が多額の資金を投じ、製鉄所を建設しています。一方で、オリッサ州に住む先住民族は、オリッサ州の人口の25%を 占めています。先住民族の暮らしは丘と森からなるこの土地に深く密着しており、製鉄所建設による強制立ち退きは、彼らの生活そのものを奪うことになり、州内各地で企業と先住民族との衝突が起きています。

1. スターライト・インダストリーズ・インド社をめぐる強制立ち退き

スターライト・インダストリーズ・インド社は、アルミニウム精製所建設のプロジェクトを立ち上げ、採鉱場の近くに製鉄所建設が計画されました。2004年2月には、35世帯の先住民族族がスターライト・インダストリーズ・インド社代表者と地元警察により強制的に立ち退かされました。また、周辺の12の村で1万人の立ち退きが計画されました。2004年4月には、集まった市民団体の活動家のうち何人かが放火罪の容疑で、警察に逮捕されていま す。

2. タタ・スチール社をめぐる強制立ち退き

タタ・スチール社がオリッサ州カリンガ・ナガールにある所有地に塀をめぐらせることを計画し、先住民族に立ち退きを迫りました。彼らがこれを拒否したため、介入した警察が発砲し、女性を含む十数人の先住民族族が殺害されました。先住民族はその後1ヶ月に渡り、オリッサ州カリンガ・ナガールへの主要道路を閉鎖しました。

最高裁判所のオリッサ州の土地利用に関する判決

2008年8月、インドの最高裁判所はスターライト・インダストリーズ・インド社、ベンダンタ・リソース社、韓国のポスコ社に対して、先住民族の保護森林地区を含む土地でのボーキサイトの採掘を許可する判決を相次いで下しました。これにより、スターライト・インダストリーズ・インド社が許 可を受けた土地では、800人、また、ポスコ社が許可を受けた土地では、2万2000人もの先住民族や農民が強制立ち退きを迫られました。

ナルマダ渓谷でのサロバロダム建設と先住民族立ち退き

20年以上に渡って、ダム建設をめぐり周辺住民が強制立ち退きを迫られています。2004年の時点では、9つの村の200世帯の先住民族が強制立ち退きに直面しました。2006年3月、ダム建設反対派がデリーの水道省の事務所前で10日間座り込みとハンガーストライキを行い、また首相にも直訴しました。2006年の時点で1万1000世帯が立ち退いたものの、十分な補償は提供されませんでした。また、追加で立ち退かされることになった3万 4000世帯への補償に関しても州政府は難色を示しました。

ジャールカンド州ジャドゥゴダにおけるウラン公害

インドで唯一のウラン鉱山があるジャールカンド州は、人口の約3割を先住民族が占め、州の南東部に集中しています。ウランを採掘・製錬する国営のウラン公社は、先住民族を強制的に居住地から追い出し、3つの鉱山開発を始めました。周囲には、5キロ以内に15の村、15キロ以内では42の村があります。ウラン公社は、それらの村の近くに膨大な残土と放射性廃棄物を投棄しました。住民のあいだには、ガン、白血病、流産・死産、先天性異常、皮膚疾患など深刻な病気が広がっています。とくに、1キロ以内にある7つの村で、47%の女性が月経不順で、18%が、流産または死産を経験し、3分の2が不妊を訴えたとの調査もあります。

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