武器貿易条約 - 武器貿易条約(ATT):私たちが求めていること

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これまで見てきたように、武器の拡散と、不正使用がもたらす被害は深刻です。しかし、人権に基づいて武器の取引を規制する国際条約は、いまだに存在していません。

この状況を改善するために、2003年、世界中の市民が、「人権侵害の拡大を防ぐために、武器取引を規制する条約をつくろう!」と声をあげました。そして、各NGOが結束し、「コントロール・アームズ」キャンペーンを立ち上げたのです。

その声は政府のトップに届き、2007年から国連で、武器貿易条約(ATT)についての話し合いが始まり、規制のための基準が検討されてきました。

ATT交渉再開が決定!国連総会で圧倒的多数の国が支持

2012年11月7日、国連総会第一委員会において、ATT交渉会議を開催するための決議が採択されました。157カ国という圧倒的多数の国々が、交渉再開を支持したのです。その中には、米国や中国も含まれていました。

採択された決議によると、2013年3月に交渉会議を実施すること、その際には2012年7月に作成された条文案をベースとすることになっています。

アムネスティをはじめとするNGOは、この条約案をさらに強化するよう、そして2013年3月で通常兵器の移転について厳格に規制できる条約が採択されるよう、各国に働きかけていきます。

私たち力で、世界が変わる

最後になりますが、私たちが求めているのは次のことです。

NGOが求めている、武器貿易条約(ATT)の原則

  • 重大な人権侵害が引き起こされる可能性が著しく高い場合、武器の移転を認めない強いルールを盛り込むこと。
  • すべての兵器を規制の対象とすること。
  • 条約内容がすべて確実に履行されるための明確なルールを盛り込むこと

武器の取引を規制する条約が締結されれば、武器による暴力で今まさに苦しんでいる人びとを救うことができます。同時に、子どもたちの未来を守ることにもつながるのです。

私たち力で、世界が変わる可能性があるのです。

「こんなATTがほしい!」NGOの提言
武器貿易条約の重要な原則

【政府の説明責任を問う武器貿易条約】

条約は、国の法的義務やその他の責任に基づいていなければならない。
以下の恐れがあるとき、各国はいかなる武器移転も許可してはならない。

-武器禁輸に関する国連決議を含む、国連憲章で定められた義務に違反する場合
-非合法市場に流出するおそれがある場合
-国際人権法や国際人道法の重大な侵害に使用される場合、ジェノサイド(集団殺りく)や人道に対する罪にあたる行為に使用される場合、テロ攻撃を容易にする場合、ジェンダーに基づく暴力や暴力犯罪、組織犯罪を容易にする場合、地域の安全に悪影響を及ぼす場合、貧困削減や社会経済的発展に悪影響を及ぼす場合、また汚職行為に用いられる場合


【包括的な武器貿易条約】

条約はすべての兵器に適用されなければならない。軍隊、治安部隊、警察に用いられる全ての武器、関連装備や弾薬、部品、専門知識、生産設備がこれに含まれる。
また、条約はすべての種類の移転に適用されなければならない。輸入、輸出、再輸出、一時的移転や積替、国の認可を受けた商用取引、技術移転、貸借、贈与、援助が含まれる。

そして、すべての取引に適用されなければならない。ディーラーやブローカーによる取引や、技術協力、訓練、輸送、保管、資金調達やセキュリティーといった行為にも適用されなければならない。


【有効で、強制力のある条約】

条約内容がすべて確実に履行されるためのガイドラインを設定する必要がある。
年次報告書などを通じ、透明性を確保しなければならない。
条約が守られているかどうか監視する効果的メカニズムも必要である。裁決、紛争解決や制裁についての規定を設けることで、説明責任を保証しなければならない。
そして、国際的な協力と支援のための包括的な枠組みを含める必要がある。
 

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