3月5日、アムネスティ日本は他団体と共に、奥西勝さんが収監されている八王子医療刑務所に対し、処遇の改善を求める要請を行いました。アムネスティ日本 死刑廃止担当の山口が報告します。
再審請求中の奥西勝さんは、現在、八王子医療刑務所に収監されています。しかし、気管切開などの手術を受けた影響により、現在ベッドに寝たきりで、話すことも難しい状態です。
そこで、アムネスティ日本は、奥西さんを支援する監獄人権センター、再審・えん罪事件全国連絡会、日本国民救援会と八王子医療刑務所へ処遇の改善を求め要請を行いました。
要請当日は、申し入れは3人に限るということで、監獄人権センターから海渡雄一代表、日本国民救援会から鈴木猛事務局長、アムネスティ・インターナショナル日本から死刑廃止担当山口薫が参加しました。
要請のポイントは、下記の3点です。
- 奥西さんの面会の実質的な保障と、外部からのハガキや手紙を届ける
- 外部の医師による診療を受けることができるようにする
- 東京在住者の支援者の特別面会人を増やすこと
アムネスティ日本から特に要請した点は、外部からのハガキや手紙を届けるというものです。日本国内のアムネスティメンバーや、支援者からの手紙だけでなく、アムネスティの他支部やメンバー、一人ひとりから、日本支部宛や八王子医療刑務所に直接手紙が送られています。しかし、奥西さんの手元には届いていない状況です。
要請に対し、八王子医療刑務所処遇部の首席矯正処遇官が対応され、刑務所長に申し伝えるということと、改善できる部分については検討するという回答をいただきました。
奥西さんは、長年無罪を争っており、アムネスティは取り組みを続けてきました。再審請求人である奥西さんの現在の処遇を少しでも良くすることは、大きな励ましになります。
要請当日、奥西さんは特別面会人の方に対し、「ありがとう」と指で文字を書いて感謝を伝えました。アムネスティは、引き続き奥西さんの再審請求や処遇の改善について支援を行っていきます。
要請内容
- 奥西さんが再審請求人であることを尊重し、外部交通権を最大限に保障すること。とりわけ、面会の実質的な保障をはじめ外部からの激励を含むハガキや手紙を手元に届けるように直ちに是正すること。
- 現在、奥西さんは八王子医療刑務所で担当医をはじめ関係者の方々の献身的な努力によって、適切な医療処置と看護が行われているものと信じます。八王子医療刑務所内での矯正医療の透明性を担保し、奥西さんの病状を正確につかみ、今後の対応を適正におこなうために刑事収容施設及び被収容者の処遇に関する法律62条2項、3項に基づく「外部の医師等による診療」、63条によって「被収容者からの指名医による診療」を受ける権利を保障することを要請します。
- 奥西さんの病状の急変、急迫な事態に対応できるように東京都在住者の支援者の特別面会人を拡大すること。
奥西勝さんについて
奥西勝さん(絵:名張弁護団の小池義夫弁護士)
1961年3月、三重県の名張市で催された懇親会で、ぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡した『名張毒ぶどう事件』。奥西勝さんは、被害者のうち2人と関係があったというだけで逮捕されました。そして、連日、早朝から深夜まで取調べを受け、自白に追い込まれました。
1972年の死刑判決確定から、40年以上にわたり無実を主張し闘っています。一審では、証拠が不十分だとして無罪判決が下されていたのにもかかわらず、その後の再審請求は認められていません。昨年、第8次再審請求を認めなかった名古屋高裁に対し、弁護団が異議を申し立てていましたが、今年1月9日、名古屋高裁は異議を棄却しました。弁護団は、1月14日の奥西さんの誕生日に、最高裁に特別抗告をしました。
要請日 | 2015年3月5日(木) |
要請先 | 八王子医療刑務所 |